【株式市場特集】備蓄米で儲けろ!ディスカウントストアから農機・肥料まで「コメ関連株」に買い殺到の予兆

■トランプ相場圏外から「コメ」が主役へ!備蓄米争奪戦が炙り出す新テーマ株

 今週の当コラムは、「トランプ・ラリー」のやや圏外に位置する独自材料人気を内包するコメ関連株に注目することにした。すでに前週末30日に大手紙の備蓄米の「精米工場の奪い合い」報道関連で井関農機<6310>(東証プライム)が、年初来高値を更新し値上がり率ランキングの第3位にランクインしたケースも出ている。関連株相場のスケールアップの予兆かもしれない。今回の備蓄米売渡しの随意契約を申請した小売り事業者、稲作に進出した副業異業種株、株主にコメ関連製品を贈呈する株主優待制度銘柄、さらに「農政改革」関連の農機株、農薬株などに広く網を張り、こちらは価格沈静化ではなく価格高騰を期待して追随買いの随意契約をするのも、一考余地がありそうだ。

■ディスカウントストアのビジネスチャンスが拡大し精米・農機関連株にも波及

 備蓄米売渡し関連株のトップバッターは、もちろん随意契約での売渡しを申請して備蓄米を確保した大手小売り事業者61社のうちの上場会社である。該当会社では、すでに前週末30日にパン・パシフィック・インターナナショナルホールディングス<PPIH、7532>(東証プライム)、アクシアル リテイリング<8255>(東証プライム)、イオン<8267>(東証プライム)が年初来高値を更新するなど高値反応した。PPIHは、取得した令和4年産米1万5000トンを前週末31日から一部店舗で販売しており、ディスカウントスーパーとしてその売れ行き、集客効果などが注目される。このPPIHと同業態のディスカウンターも、市場価格の半値となる備蓄米は、客寄せパンダの特売品としてビジネスモデル合致の最適商材にもなる。備蓄米の確保量は、1000トン前後にとどまるが、PLANT<7646>(東証スタンダード)、ミスターマックス<8203>(東証プライム)、マミーマート<9823>(東証スタンダード)は、株価も低PER水準にある。PLANTは、今期業績を下方修正したが、増配に変更はなく配当利回りも5%以上に回るだけに先行株へのキャッチアップが期待される。大黒天物産<2791>(東証プライム)は、売渡し確定後に株価が乱高下しているが、信用好需給などからなお上値チャレジ余地がありそうだ。

 また小売り事業者からの精米委託を受けるコメ卸の木徳神糧<2700>(東証スタンダード)、ヤマタネ<9305>(東証プライム)は関連株買いが続きそうだ。前記の井関農機は、全国展開しているコイン式精米機事業を手掛かりに買い物殺到となったが、同業の農業機械のやまびこ<6250>(東証プライム)、丸山製作所<6316>(東証スタンダード)、タカキタ<6325>(東証スタンダード)、クボタ<6326>(東証プライム)、ネポン<7985>(東証スタンダード)への人気波及も想定される。また米増産の「農政改革」関連では、水稲用農薬・肥料株の浮上も期待され住友化学<4005>(東証プライム)、日産化学<4021>(東証プライム)、北興化学工業<4992>(東証スタンダード)、日本農薬<4997>(東証プライム)、多木化学<4025>(東証プライム)、片倉コープアグリ<4031>(東証スタンダード)などがスタンバイすることになる。

■新米、お米券を贈呈の株式優待銘柄は価格高騰分だけ総合利回りがさらにアップ

 株主優待制度で新米やお米券を株主に贈呈する上場会社は、ことのほか多い。そのなかには配当利回りが高く、なおかつ優待制度で贈呈のコメ価格高騰が上乗せとなって総合利回りがなおアップする銘柄も含まれる。例えば積水ハウス<1928>(東証プライム)は、今1月期配当を年間144円へ連続増配を予定し配当利回りは4.38%となるが、これに株主優待策として1000株以上の株式を保有する株主に魚沼産こしひかり(新米)の5キロ贈呈を予定しており、同新米の価格が4000円と仮定すると総合利回りは5.60%に高まる計算だ。配当利回りが5%超となるキャリアデザインセンター<2410>(東証プライム)、TPR<6463>(東証プライム)以下、4%超となる月島ホールディングス<6332>(東証プライム)、ムロコーポレーション<7264>(東証スタンダード)、萩原工業<7856>(東証プライム)、キムラユニティー<9368>(東証スタンダード)などからマークするところだろう。

 穴株として異業種から米つくり、水稲栽培に進出した銘柄も浮上が期待される。パソナグループ<2168>(東証プライム)、亀田製菓<2220>(東証プライム)、KIMOTO<7908>(東証スタンダード)、ヤマタネなどで、このうちKIMOTOが生産している「実りの百年米」は、地元の三重県いなべ市のふるさと納税の返礼品にも採用されている。このほかオプティム<3694>(東証プライム)は、ドローンによる農薬散布サービスを展開しておりスマート農業関連株の一角を占める。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■新エネルギーマネジメントシステムで約10%の省エネ運行を実現  三菱重工業<7011>(東証プラ…
  2. 生成AI
    ■日本のAI競争力強化と社会実装加速を目指す国家戦略  経済産業省は、生成AIの社会実装を強力に推…
  3. ■円安と生産コスト上昇が直撃、値上げ難で経営圧迫  ステーキ店の経営悪化が鮮明になっている。帝国デ…
2025年6月
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30  

ピックアップ記事

  1. ■イスラエル・イラン衝突でリスク回避売りが優勢に  イスラエルのイラン攻撃を受け、13日の日経平均…
  2. ■ホルムズ海峡封鎖なら「油の一滴は血の一滴」、日本経済は瀬戸際へ  コメ価格が高騰する「食料安全保…
  3. ■トランプリスク回避へ、大谷・藤井・大の里株が浮上  『おーいお茶』を展開する伊藤園<2593>は…
  4. ■昭和の象徴、長嶋茂雄さん死去  またまた「昭和は遠くなりにけり」である。プロ野球のスパースター選…
  5. ■トランプ相場圏外から「コメ」が主役へ!備蓄米争奪戦が炙り出す新テーマ株  今週の当コラムは、「ト…
  6. ■「備蓄米」争奪戦の裏で石破内閣の命運を握るコメ価格高騰  まさに「令和の米騒動」である。江戸時代…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る