PDFと生成AIで業務効率化、アドビの最新調査が示す現場の変化

■PDFの生成AI機能で8割のビジネスパーソンが業務効率化を実感

 コンピュータ・ソフトウェア・テクノロジー・カンパニーのアドビは6月12日、国内のビジネスパーソンを対象に実施したPDFファイルと生成AIの活用状況に関する調査結果を発表した。同社が提供する「Acrobat AI アシスタント」の日本語版が2月に登場して以降、生成AIの業務利用に注目が集まっている。同調査は、PDFを日常的に扱う20~59歳の700名に対して行われ、業務効率化に寄与するAI機能の利用実態と、その課題が浮き彫りとなった。

■全体の6割のビジネスパーソンが10ページ以上の長文PDFを日常的に活用

 まず、PDF文書の利用については、6割以上のビジネスパーソンが10ページ以上の長文PDFを日常的に扱っていることが明らかとなった。特に「頻繁にある」と回答した割合は24.0%で、「時々ある」と合わせると60.7%に達する。一方で、業務文書から必要な情報を探すことに「苦労している」と答えた割合は67.5%にのぼった。法務部門では87.0%が検索に困難を感じており、広報・マーケティング部門でも80.0%と高い数値が出ている。

 PDFにおける生成AI機能の利用率は全体の40.6%にとどまったが、利用経験者のうち79.5%が「業務が効率化した」と回答した。法務部門では利用率が70.0%と最も高く、契約書の精査やリスク分析といった作業への応用が進んでいるとみられる。広報・マーケティング部門の利用率も57.0%と高水準を示し、文書要約や検索支援といった用途が目立つ。一方、経理・財務や研究開発部門では25.0%以下と利用が進んでいない現状も浮き彫りになった。

■AI活用の鍵はガイドラインと正確性への信頼

 生成AI機能を利用する目的としては、「文書から知りたい内容を探すため」が61.3%で最多だったが、その一方で「社内ガイドラインの不在(36.1%)」「情報の正確性(25.9%)」「情報漏洩(24.6%)」といった懸念も根強い。アドビは、AIが文書の内容に基づいてのみ回答し、ユーザー文書から学習しない仕組みを導入することで、正確性と情報保護の両立を目指している。同社は今後も信頼性の高いデジタルソリューションを通じ、企業の情報資産から新たな価値を創出する支援を続けるとしている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■歯周病の進行抑制に向け、老廃物除去と免疫調整の2軸で研究  ライオン<4912>(東証プライム)…
  2. ■バリア性能と印刷適性を両立、2030年までに10億円売上目指す  大日本印刷<7912>(東証プ…
  3. ■胃がん・大腸がん対策で「Train the Trainerプログラム」を展開  オリンパス<77…
2025年9月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ピックアップ記事

  1. ■東京株、NYダウ反落と首相辞任で先行き不透明  東京株式市場は米国雇用統計の弱含みでNYダウが反…
  2. ■株式分割銘柄:62社に拡大、投資単位引き下げで流動性向上  選り取り見取りで目移りがしそうだ。今…
  3. ■金先物相場を背景に産金株が収益拡大の余地を示す  東京市場では金価格の上昇を背景に産金株が年初来…
  4. ■大統領の交渉術が金融市場を左右し投資家心理に波及  米国のトランプ大統領は、ギリシャ神話に登場す…
  5. ■価格改定効果に加え9月以降の値上げで業績上乗せが期待される銘柄  今週の当コラムは、9月に価格改…
  6. ■9月1日に値上げラッシュの食品株は日銀バトルで小緩んでも株高持続性  まさに「パウエル・プット」…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る