【株式市場特集】電力株が再注目!生成AI関連で脚光、データセンター需要増で新たな成長材料

■内需株に広がる「トランプ・ディール」回避の波

 東京電力ホールディングス<9501>(東証プライム)や関西電力<9503>(東証プライム)などの電力株が内需ディフェンシブ銘柄として注目を集めている。7月2日付の日本経済新聞が報じた両社によるデータセンター向け送電網の増強投資が材料視され、生成AI関連の新たな買い材料として浮上した。4日には電力・ガス株が業種別株価指数で値上がり率トップとなり、年初来高値を更新した3銘柄を含む計6銘柄が東証プライム市場の上昇率上位50位に入った。バリュー株としても評価され、高配当利回りや低PER・PBRを武器に投資妙味が高い。

■データセンター需要、猛暑特需、原発再稼働のトリプルスリー・メリット

 電力株は、九州、北海道での半導体工場の着工・竣工・稼働開始で一度買われ、今回は、データセンター増強・電力需要の拡大で再出番を迎えている。前週末4日に年初来高値を更新した東京電力HDは、無配継続ながらPERは3.7倍、PBR0.29倍の低評価にとどまる。また4日の東証プライム市場の値上り率ランキングの第10位にランクインした北海道電力も、PER6.7倍、PBR0・45倍、配当利回り3.69%、31位の九州電力<9508>(東証ピライム)も同じく5.4倍、0.75倍、5.4%と割安である。Jパワー<電源開発、9513>(東証プライム)を含めた11電力株がすべて同様の投資採算評価に甘んじており、PBR1倍まで買ってもなお3割~2倍の上値余地が計算される。折からの記録的な猛暑続きによる猛暑特需の電力需給のひっ迫や原発再稼働なども加わりトリプルスリーのサポート材料視されよう。

 電気工事株では九電工<1959>(東証プライム)が、前週末4日に連日の年初来高値追いとなったが、PER13.6倍、配当利回り2.91%となお市場平均のそれぞれ15.5倍、2.65%を下回っている。大手9電力系の電力工事株はさらに割安で、低PERベスト3はPER8.7倍の北海電工<1832>(札証)、9.5倍のトーエネック<1946>(東証プライム)、11.5倍の中電工<1941>(東証プライム)で、北陸電工<1930>(東証プライム)、四電工<1939>(東証プライム)、中電工、東京エネシス<1945>(東証プライム)、トーエネック、北海電工がPBR1倍を割れ、高配当利回り株ベスト3は、4.99%の四電工、4.20%のトーエネック、4.18%の東京エネシスと続く。

■電力供給システム株も低PER・PBR・高配当銘柄揃いで穴株も

 変圧器や電力供給システム株も、年初来高値近辺まで上値を伸ばしていながらなお投資採算的に割安な銘柄が少なくない。東光高岳<6617>(東証プライム)、戸上電機<6643>(東証スタンダード)、かわでん<6648>(東証プライム)がPBRは揃って1倍を割れ、PERは6倍~8倍、配当利回りは3%~4%と高く、日東工業<6651>(東証プライム)は、PERは1倍ソコソコでPERは12倍、配当利回りは3.9%と上値余地を示唆している。データセンター向け冷却装置を手掛ける関連株にも割安株があり、三桜工業<6584>(東証スタンダード)は、今期配当は未定予想ながらPERは12倍、PBRは0.5倍、MCJ<6670>(東証スタンダード)はPBRは1.3倍ながらPERは10倍、配当利回りは3.5%とそれぞれ穴株妙味を内包している。

 最大のデータセンター関連株は、フジクラ<5803>(東証プライム)に代表される電線株で、ここまで何回も電線音頭相場」を演じてきたが、このなかで前週末4日に住友電気工業<5802>(東証プライム)が、年初来高値を更新しており、それでもPERは12倍、PBRは1.04倍、配当利回りは3.21%と割安であり、「電線音頭相場2.0」の牽引役は交代し電線株人気を再燃させよう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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