【株式市場特集】訪日客数好調でインバウンド関連株に注目、ホテル・リユース・交通株が有望
- 2025/7/14 08:36
- 特集

■5月訪日客数が過去最高、6月も好調持続の見込みで市場活況
足元のインバウンド需要は、好調に推移している。日本政府観光局が今年6月18日に発表した今年5月の月次訪日外客数は、369万3330人と前年同月を21.5%上回り、5月として過去最高だった前年同月を上回った。今週16日には今年6月の推計値が発表予定であり、好調持続を確認することになる。夏のバカンスシーズン入りを前に為替相場も、トランプ関税の影響で円安・ドル高に傾いていることからインバウンド関連株にはフォローの風となりそうだ。バリュー株揃いのホテル・旅館株、ブランド品を格安販売のリユース株、「爆買い」が続いている100円ショップ株、鉄道株、航空株などに幅広く網を張り「夏の陣」に備えることも有望となりそうだ。
■ホテル株、周辺サービス株はPER10倍を割り先行牽引展開も有望
インバウンド関連株で値ごろ妙味があって割安株が目立つのはホテル株である。低PERランキングの上位を占めるトップ5は、PER6倍のグリーンズ<6547>(東証スタンダード)以下、7倍のワシントンホテル<4691>(東証スタンダード)、8倍のABホテル<6565>(東証スタンダード)、9倍の伊豆シャボテンリゾート<6819>(東証スタンダード)、12倍の京都ホテル<9723>(東証スタンダード)といずれも東証スタンダード銘柄で、今年4月の「トランプ・ショック」時の一番底に続き足元では二番底確認の値動きとなっているが煮詰まり感を強めそうだ。値動き優先となれば、年初来高値に突っ掛けている東証プライム市場の3銘柄が要注目で、PER16倍台の共立メンテナンス<9616>(東証プライム)、藤田観光<9722>(東証プライム)、20倍台のリゾートトラスト<4681>(東証プライム)に上値余地が期待される。
ホテル周辺サービスを展開している関連株も割安株が多く、ホテルの食器洗浄・衛生管理を行うスチュワード事業のCSSホールディングス<2304>(東証スタンダード)はPER8倍、ホテル向けのリネンサプライ事業の白洋舎<9731>(東証スタンダード)はPER7倍、リゾートバイトの人材派遣のダイブ<151A>(東証グロース)はPER14倍である。旅行代理店株にも割り負け銘柄があり、KNT-CTホールディングス<9726>(東証スタンダード)は無配継続ながらPER4倍、エイチ・アイ・エス<9603>(東証プライム)はPER13倍、アドベンチャー<6030>(東証グロース)はPER15倍である。
■ブランド品ではリユース株に再出番迫り電鉄株は過半がPBR1倍割れ
インバウンド消費では、かつて話題独占となった「爆買い」は一巡したようだが、ブランド品・宝飾品などの高額商品の免税購入意欲は根強く続いている。この受け皿の代表は百貨店株となるが、PER6倍の高島屋<8233>(東証プライム)、同12倍の三越伊勢丹ホールディングス<3099>(東証プライム)、同13倍のエイチ・ツー・リテイリング<8242>(東証プライム)の人気復活がカギを握りそうだ。この関連では中古品買い取り・再販のリユース株に割安株が多くPER6倍のコメ兵ホールディングス<2780>(東証スタンダード)、同9倍の買取王国<3181>(東証スタンダード)、ハードオフコーポレーション<2674>(東証プライム)、同10倍のシュッピン<3179>(東証プライム)などからマークするところだろう。
ANAホールディングス<9202>(東証プライム)は、前週末11日に約5カ月ぶりに年初来高値を更新したがなおPERは11倍と割安であり、公共交通株はインバウンド関連の有力な一角を占める。同業のJAL<9201>(東証プライム)もPER11倍でスターフライヤー<9206>(東証スタンダード)は無配ながらPERは4倍、羽田空港で航空燃料を補給する三愛オブリ<8097>(東証プライム)は同13倍である。電鉄株の割安株ベスト10は、西日本鉄道<9031>(東証プライム)のPER7.3倍を筆頭にJR東海<9022>(東証プライム)、京福電鉄<9049>(東証スタンダード)、東武鉄道<9001>(東証プライム)、京王電鉄<9008>(東証プライム)、相鉄ホールディングス<9003>(東証プライム)、京阪ホールディングス<9045>(東証プライム)、JR九州<9142>(東証プライム)、近畿グループホールディングス<9041>(東証プライム)、阪急阪神ホールディングス<9042>(東証プライム)と続き、第10位の阪急阪神HDのPERは11.2倍である。このうち西鉄、JR東海、東武、京王、近畿GHD、阪急阪神HDの6銘柄がPBR1倍を割っている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)