【編集長の視点】イードは年初来高値に肉薄、記念増配・記念優待権利取りを3Q高利益進捗率業績がフォロー

■記念配当6円上乗せで年間22円、QUOカード優待も1万5000円に拡充

 イード<6038>(東証グロース)は、前日4日に5円高の1027円と反発して引け、取引時間中に1047円へ買い進まれる場面があり、6月2日につけた年初来高値1059円に肉薄した。同社株は、創立25周年を記念して今2025年6月期の記念増配と記念株主優待策を発表しており、期末の6月入りとともに権利取り買い物が再燃した。今年5月15日に発表した今期第3四半期(2024年7月~2025年3月期、3Q)業績が、増益転換し6月期通期予想業績に対して高利益進捗率を示したことも業績上ぶれ期待を高めてフォローの材料となっている。

■3Q利益の対通期予想業績進捗率は91%~100%に達し業績上ぶれ期待

 同社の今6月期配当は、昨年5月に配当方針を変更し配当の目安をDOE(株主資本配当率)1.5%以上から2.0%以上に引き上げたことから期初に年間16円(前期実績14円)へ連続増配が予定されていた。これに対して今年2月には創立25周年の記念配当と記念株主優待策を発表し、記念配当6円を上乗せして年間配当を22円に大幅増配する。記念株主優待策では、同社株式500株を保有する株主にQUOカード1万円分を贈呈する。この優待制度は今年5月にさらに拡充が発表され、来期は500株を1年未満保有する株主にはQUOカード1万円分贈呈と変わらないが、1年以上保有する株主には1万5000円分贈呈と引き上げれた。またこのほか株主還元策として自己株式取得も発表し、今年2月に730円で10万株(発行済み株式総数の2.01%)、総額7300万円の立会外買い付け取引も実施した。

 一方、今6月期3Q業績は、売り上げ47億7700万円(前年同期比2.6%増)、営業利益5億3700万円(同9.1%増)、経常利益5億3400万円(同3.8%増)、純利益3億6900万円(同27.3%増)と増益転換した。クリエイターソリューション事業では、リサーチソリューションの大型案件の受注が低調だったが、クリエイタープラットフォーム事業では、データ・コンテンツ提供の売り上げが11億9100万円(同6.5%増)、ネット広告の売り上げが11億9900万円(同6.5%増)と伸び、全体の売り上げが3Qとして過去最高を更新したことが要因となった。今6月期通期業績は、期初予想を据え置き売り上げ67億円(前期比9.4%増)、営業利益5億5000万円(同12.6%増)、経常利益5億9000万円(同7.7%増)、純利益3億7000万円(同2.26倍)と見込んでいる。ただ3Q累計の営業利益、経常利益は6月期通期業績に対して91%の進捗率、純利益はほぼ100%の進捗率を示しており、業績の上ぶれ期待を高めている。

■PER13倍、総合利回り4%の修正でインカムゲイン・キャピタルゲイン妙味

 株価は、記念配当増配と記念株主優待策を歓迎して869円高値へ急伸し、トランプ関税による世界同時株安の波及で730円と売られたが、3Q好決算に株主優待策の拡充が続いて1000円台に乗せ年初来高値追いとなった。PERは13.6倍、記念株主優待制度込みの総合利回りは4.08%と割安である。期末に向けた配当・優待制度の権利取りのインカムゲインとともに、値幅取りのキャピタルゲイン妙味も示唆しており、次の上値フシとして2019年3月高値1287円が意識されよう。(情報提供:日本インタビュ新聞・インベストメントナビゲーター:株式投資情報編集長=浅妻昭治)

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