ゼリア新薬工業、通期増収予想を据え置き、主力製品の好調と事業の回復力に期待感

 ゼリア新薬工業<4559>(東証プライム)は8月5日に26年3月期第1四半期連結業績を発表した。減収・大幅減益だった。医療用医薬品事業が前期の反動で減収となったほか、営業外で前期計上した為替差益が剥落したことも影響した。ただし通期の小幅減益予想を据え置いている。積極的な事業展開で第2四半期以降の挽回を期待したい。株価は第1四半期業績を嫌気する形で急落したが、目先的な売り一巡して出直りを期待したい。

■26年3月期1Q大幅減益だが通期小幅減益予想据え置き

 26年3月期第1四半期の連結業績は、売上高が前年同期比9.2%減の194億89百万円、営業利益が61.4%減の15億20百万円、経常利益が69.6%減の16億62百万円、親会社株主帰属四半期純利益が74.1%減の10億90百万円だった。

 減収・大幅減益だった。医療用医薬品事業が前期の反動で減収となり、海外子会社における基幹システム投資などで経費が増加したほか、営業外で前期計上した為替差益(12億96百万円)が剥落したことも影響した。

 医療用医薬品事業は売上高(外部顧客への売上高)が13.5%減の126億66百万円、営業利益(全社費用等調整前)が54.1%減の17億16百万円だった。主要製商品の売上高は、アサコールが11.7%減の48億52百万円、ディフィクリアが11.4%減の45億69百万円、エントコートが37.8%減の9億77百万円、アコファイドが5.6%増の8億08百万円、その他が12.2%減の14億59百万円だった。国内市場は薬価改定や長期収載品の選定療養制度、競合品の影響などで厳しい状況が続いた。海外は主要市場であるイギリスやフランスが堅調だったが、一部地域において前期第4四半期の出荷が大幅に増加した反動で減少した。

 コンシューマーヘルスケア事業は、売上高が0.2%増の67億84百万円、営業利益が9.3%減の13億36百万円だった。主要製商品の売上高は、ヘパリーゼ群が9.5%増の30億65百万円、コンドロイチン群が4.7%減の13億80百万円、ウィズワン群が11.0%増の3億70百万円、その他が10.0%減の19億67百万円だった。ヘパリーゼ群や植物性便秘薬ウィズワン群は堅調だったが、コンドロイチン群などの一部製品が競合品の影響を受けた。

 その他(保険代理業・不動産賃貸収入等)は売上高が4.3%増の38百万円、営業利益が13.8%減の54百万円だった。

 通期の連結業績予想は据え置いて、売上高が前期比3.1%増の900億円、営業利益が1.6%減の120億円、経常利益が6.5%減の120億円、親会社株主帰属当期純利益が4.4%減の95億円としている。配当予想も据え置いて前期比1円増配の48円(第2四半期末24円、期末24円)としている。連続増配で予想配当性向は22.3%となる。

 売上面は医療用医薬品事業、コンシューマーヘルスケア事業とも順調に推移して増収だが、利益面はエネルギー・原材料価格高騰の影響、研究開発投資や海外子会社における基幹システム投資などを考慮し、さらに営業外での為替差益を見込まず小幅減益予想としている。第1四半期は減収・大幅減益だったが、第2四半期以降は反動影響が緩和される見込みとしている。積極的な事業展開で第2四半期以降の挽回を期待したい。

■株価は目先的な売り一巡

 株価は第1四半期業績を嫌気する形で急落したが、目先的な売り一巡して出直りを期待したい。8月6日の終値は2011円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS215円52銭で算出)は約9倍、今期予想配当利回り(会社予想の48円で算出)は約2.4%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2031円33銭で算出)は約1.0倍、そして時価総額は約1068億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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