
■北米資源戦略を強化し、持分銅生産40万トン超へ拡大
三菱商事<8058>(東証プライム)は8月14日、カナダの鉱山会社であるハドベイ・ミネラルズ社が米国アリゾナ州で保有する「カッパー・ワールド銅鉱山」の権益30%を、増資引き受けにより6億ドル(約870億円)で取得したと発表した。ハドベイ社と共同で、同鉱山の最終事業化調査を実施することに合意した。同鉱山は、経済性の確認が済んだ埋蔵量だけでも銅分換算で約200万トン、地質調査で存在が確認されている資源量全体では約500万トンに及ぶ大規模なプロジェクトである。同事業は主要な許認可を取得済みであり、2029年頃から年間最大約10万トンの銅生産が期待されている。この権益取得は、三菱商事が掲げる2030年度以降に銅生産量年間40万トン超を目指す目標に向けた取り組みの一環と位置づけられる。
米国は世界第2位の銅需要国であり、今後も人口増加や、生成AI、データセンターの拡大に伴う電力需要の増加、さらには電化の進展により、堅調な需要成長が見込まれる。同鉱山が所在するアリゾナ州は、米国内の銅鉱山生産の約7割を占める鉱業の盛んな地域であり、交通インフラなどへのアクセスも良好である。共同事業パートナーとなるハドベイ社は、1927年の設立以降、長年にわたり鉱山開発・操業経験を持つ実績豊富な企業だ。三菱商事は、同社の持つ知見や北米での事業経験を活用し、2026年頃の最終開発意思決定に向けて、ハドベイ社と共に最終事業化調査を進めていく。
銅は、脱炭素社会の実現に不可欠な資源として中長期的な需要増が見込まれているが、世界的な鉱石の品質低下により新規鉱山開発の難易度が高まり、安定供給が課題となっている。三菱商事は、同鉱山事業への参画を、事業活動を通じて解決を目指す重要課題(マテリアリティ)である「脱炭素社会への貢献」と「持続可能で安定的な社会と暮らしの実現」に資する取り組みと位置づけている。今後も同社は、銅資源の確保と安定供給に継続して取り組んでいく方針だ。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)