【アナリスト水田雅展の銘柄分析】建設技術研究所は調整一巡感、14年12月期再増額の可能性を評価して切り返し局面

銘柄分析

 建設コンサルタント大手の建設技術研究所<9621>(東1)の株価は、10月の戻り高値1942円から反落して調整局面だ。ただし10月安値および11月安値を割り込むことなく、1500円台で調整一巡感を強めている。今期(14年12月期)再増額の可能性を評価して切り返し局面だろう。

 総合建設コンサルタントの大手で河川・ダム・海岸・海洋、道路、橋梁、トンネル、都市・地方計画などの分野に強みを持ち、中期経営計画では防災・減災計画関連、都市計画関連、環境関連などを重点分野と位置付けて、再生エネルギーを活用するスマートコミュニティ、民間資金を活用するPFI・PPP事業、そして鉄道や物流などの分野への取り組みも強化している。13年9月には農業・農村関連ビジネスへの参入を視野に入れて子会社CTIフロンティアを立ち上げ、14年4月には太陽光発電事業に着手した。

 今期(14年12月期)の連結業績見通し(7月14日に利益を増額修正)は、売上高が前期比11.2%増の405億円、営業利益が同44.8%増の22億円、経常利益が同40.3%増の23億円、純利益が同32.4%増の13億円、そして配当予想(2月14日公表)は前期と同額の年間18円(期末一括)としている。豊富な受注残の消化や原価率改善の効果などで大幅増収増益見通しだ。

 第3四半期累計(1月~9月)は前年同期比14.4%増収、同2.2倍営業増益、同2.1倍経常増益、同2.1倍最終増益の大幅増収増益だった。通期見通しに対する進捗率は売上高が74.5%、営業利益が103.8%、経常利益が102.4%、純利益が103.2%で、利益は通期見通しを超過達成している。公共工事の比率が高まる年度末(1月~3月)が当社の第1四半期(1月~3月)にあたる収益構造を考慮しても高水準であり、通期利益見通しは再増額が濃厚だろう。

 防災・減災関連、老朽化インフラ補修・更新関連、都市再開発関連、20年東京夏季五輪関連、リニア新幹線関連など建設ビッグプロジェクトが目白押しであり、アベノミクス重点戦略の「地方創生」も追い風となりそうだ。中期的に良好な事業環境を背景として収益拡大基調だろう。

 株価の動きを見ると、10月の戻り高値1942円から反落し、やや水準を切り下げて調整局面だ。12月16日と17日には1545円まで調整する場面があった。ただし10月安値1535円、11月安値1536円を割り込むことなく、足元では1600円台に戻す場面もあり切り返しの動きを強めている。調整が一巡して好業績見通しを評価する動きだろう。

 12月22日の終値1582円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS91円93銭で算出)は17~18倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間18円で算出)は1.1%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS1504円86銭で算出)は1.1倍近辺である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線を割り込んだが、26週移動平均線が接近してサポートラインとなりそうだ。好業績見通しを評価する流れに変化はなく、調整が一巡して切り返し局面だろう。

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