浜松ホトニクス、200J×10Hzの世界最高レーザ出力を達成、核融合発電から半導体露光・宇宙デブリ除去まで応用期待

■冷却構造と励起パワー改良で2kW平均出力を実現

 浜松ホトニクス<6965>(東証プライム)は8月28日、半導体レーザ(LD)励起の固体レーザとして世界最高出力となるパルスエネルギー200ジュールを10ヘルツで照射し、平均2キロワットのレーザ出力を達成したと発表した。本成果はレーザ媒質の冷却性能を強化し、ビーム品質を向上させた改良の結果であり、従来の2倍以上の光エネルギー密度での出力に成功した。同時にレーザ光が光学素子に損傷を与える限界値を確認し、レーザフュージョン発電に向けた1キロジュール級レーザ開発の技術課題を明らかにした。成果は9月に仏トゥールで開催される国際会議「IFSA2025」で報告される予定である。

 同社はこれまでNEDOとの共同開発により0.2ヘルツで250ジュール出力の装置を完成させ、2023年には100ジュール×10ヘルツを実証してきた。今回の実験ではLD励起パワーを1.5倍に増強し、冷却構造を改良することで発熱の影響を抑制した。さらに最適化により媒質特性の劣化を防ぎ、200ジュール×10ヘルツ出力を実現した。装置は一部光学素子が損傷したが、年内に再稼働し1キロジュール級開発の基礎データ取得に活用する方針である。

 レーザフュージョンは重水素と三重水素の核融合を用いる次世代発電技術であり、米国ローレンス・リバモア国立研究所の国立点火施設では2022年に世界初の点火実証が行われた。同社は高効率かつ高繰り返し出力可能な1キロジュール級レーザの研究を継続し、国内外研究機関との連携や国家プロジェクトの立ち上げを目指す。成果はレーザ加工や宇宙デブリ除去、半導体露光用光源など幅広い応用が期待され、経済安全保障の観点からも重要技術と位置付けられている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■AIが「空気読み」戦略立案、自律協調の新技術を発表  NTT(日本電信電話)<9432>(東証プ…
  2. 【デスクワーク時の「ちびだら飲み」がもたらす効果を検証】 ■カフェインだけじゃない、緑茶の新たな可…
  3. ■論理的推論と安全性を大幅向上  OpenAIは8月7日(現地時間)、次世代AIモデル「GPT-5…
2025年10月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

ピックアップ記事

  1. ■自民党人事でハト派ムード先行、逆張りで妙味狙う投資戦略も  今週の当コラムは、ハト派総裁とタカ派…
  2. ■総裁選関連株が再び脚光、政権交代期待が市場を刺激  今週の最注目銘柄は、さいか屋<8254>(東…
  3. ■金先物関連株、最高値更新で安全資産需要が強まる  日本取引所グループ<8697>は9月24日、今…
  4. ■石破首相辞任表明後も市場は急落回避、投資家の買い意欲継続  「一寸先」は、不確実で予測が難しい。…
  5. ■東証市場、主力株急落と中小型株逆行高で投資戦略二極化  証市場は9月19日に主力株の急落と中小型…
  6. どう見るこの相場
    ■プライム市場の需給悪化を警戒し、個人投資家は新興市場へ資金を逃避  「桐一葉 落ちて天下の秋を知…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る