ispaceの欧州法人ispaceEUROPE、月探査「MAGPIE」審査完了、2028年打ち上げへ

■ESA支援の国際共同プロジェクト、水資源調査と利用可能性評価を目指す

 ispace(アイスペース)<9348>(東証グロース)は9月10日、欧州法人のispace EUROPEが欧州宇宙機関(ESA)と進める月探査ミッション「MAGPIE」において、ミッション定義審査(MDR)を完了したと発表した。同計画はESAの「Small Missions for Exploration」イニシアティブの支援を受け、欧州初となる月極域資源探査を目的にispace EUROPEが主導する国際共同プロジェクトである。今回の審査完了は2024年に締結したプリフェーズA契約の成果を示すものであり、ローバーの設計や運用概念、科学目標、開発スケジュール、予算に関する包括的評価を経て、次段階の契約フェーズ移行が承認された。

 MAGPIEは、欧州各国の大学・研究機関や企業が参加するコンソーシアムによって推進される。搭載予定の探査機器は、揮発性物質探査機(LVS)、中性子分光計「HardPix」、地中レーダー「RIMFAX」などであり、水資源の位置特定と特性評価、形成過程の解明、将来の有人・無人ミッションでの利用可能性の評価を行う計画である。ESAの専門家や参加研究者は、この国際協力が欧州宇宙科学のフロンティア開拓に資する意義を強調している。ispace EUROPEのCEOジュリアン=アレクサンドル・ラマミー氏は「MDR完了はミッションの実現可能性を証明し、次の道筋を確立した」と述べた。

 今後はペイロード設計の成熟化、試作機の製造、ローバーの改良を進め、2025年11月のESA閣僚級会議で資金調達計画の承認を目指す。打ち上げは2028年を予定しており、欧州初の月極域科学探査の実現に向けた第一歩と位置付けられる。ispace EUROPEはルクセンブルクを拠点とし、独自のマイクロローバー開発や管制施設を整備するなど、欧州における月面産業の創出を加速させている。親会社のispaceは日本、欧州、米国に拠点を構え、民間主導による月輸送サービスと資源探査の拡大を通じて、持続可能な宇宙経済の実現を目指している。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■歯周病の進行抑制に向け、老廃物除去と免疫調整の2軸で研究  ライオン<4912>(東証プライム)…
  2. ■バリア性能と印刷適性を両立、2030年までに10億円売上目指す  大日本印刷<7912>(東証プ…
  3. ■胃がん・大腸がん対策で「Train the Trainerプログラム」を展開  オリンパス<77…
2025年9月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ピックアップ記事

  1. ■東京株、NYダウ反落と首相辞任で先行き不透明  東京株式市場は米国雇用統計の弱含みでNYダウが反…
  2. ■株式分割銘柄:62社に拡大、投資単位引き下げで流動性向上  選り取り見取りで目移りがしそうだ。今…
  3. ■金先物相場を背景に産金株が収益拡大の余地を示す  東京市場では金価格の上昇を背景に産金株が年初来…
  4. ■大統領の交渉術が金融市場を左右し投資家心理に波及  米国のトランプ大統領は、ギリシャ神話に登場す…
  5. ■価格改定効果に加え9月以降の値上げで業績上乗せが期待される銘柄  今週の当コラムは、9月に価格改…
  6. ■9月1日に値上げラッシュの食品株は日銀バトルで小緩んでも株高持続性  まさに「パウエル・プット」…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る