鹿島と日立産業制御、リアルタイム3Dスキャンを共同開発、トンネル工事で実証

■カメラとLiDARを組み合わせた新システムを建設現場に導入

 鹿島<1812>(東証プライム)は9月9日、日立産業制御ソリューションズと共同で、建設現場の状況をリアルタイムで3次元モデル化する「リアルタイム3Dスキャン」を開発したと発表した。同システムは現場に設置した複数のカメラとLiDARを活用し、取得した画像と点群データをクラウド上で解析・合成することで、色付きの3次元モデルを生成する仕組みである。これにより、施工現場を離れた事務所からでも即座に3次元の状況を確認でき、施工管理の効率化に直結することが確認された。導入先は国土交通省関東地方整備局発注の「R2国道20号八王子南BP館第二トンネル工事」である。

 施工管理業務では、建設機械や資機材の位置、施工手順の進捗確認が重要とされる。従来はGNSSやドローンを用いた見える化が進んでいたが、飛行条件などにより3次元データ生成に時間を要する課題があった。同システムはカメラとLiDARで同時撮影したデータをクラウドで解析し、(1)画像と点群の結合、(2)モデル生成のクリーンアップ、(3)3次元モデルとオルソ画像の生成という3ステップで高速処理を実現する。これにより、寸法確認や重機作業範囲の把握が容易となり、現場に専用端末を設置せずとも施工状況をリアルタイムに共有できる点が特徴である。

 館第二トンネル工事での実証では、施工配置や覆工板の開口部の変化をリアルタイムで把握でき、作業確認や工程調整の効率化が実現した。さらに3次元モデル上で距離測定が可能となり、クレーン揚重計画などの施工計画の生産性向上にも寄与した。鹿島は今後、施工管理システム「Field Browser」との統合を視野に改良を進め、デジタルツイン技術を深化させることで施工管理の一元化や安全性向上を目指す方針である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■歯周病の進行抑制に向け、老廃物除去と免疫調整の2軸で研究  ライオン<4912>(東証プライム)…
  2. ■バリア性能と印刷適性を両立、2030年までに10億円売上目指す  大日本印刷<7912>(東証プ…
  3. ■胃がん・大腸がん対策で「Train the Trainerプログラム」を展開  オリンパス<77…
2025年9月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ピックアップ記事

  1. ■東京株、NYダウ反落と首相辞任で先行き不透明  東京株式市場は米国雇用統計の弱含みでNYダウが反…
  2. ■株式分割銘柄:62社に拡大、投資単位引き下げで流動性向上  選り取り見取りで目移りがしそうだ。今…
  3. ■金先物相場を背景に産金株が収益拡大の余地を示す  東京市場では金価格の上昇を背景に産金株が年初来…
  4. ■大統領の交渉術が金融市場を左右し投資家心理に波及  米国のトランプ大統領は、ギリシャ神話に登場す…
  5. ■価格改定効果に加え9月以降の値上げで業績上乗せが期待される銘柄  今週の当コラムは、9月に価格改…
  6. ■9月1日に値上げラッシュの食品株は日銀バトルで小緩んでも株高持続性  まさに「パウエル・プット」…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る