アステナホールディングス、25年11月期3Q累計大幅増益、通期利益は3回目の上振れも視野
- 2025/10/14 07:52
- 決算発表記事情報

(決算速報)
アステナホールディングス<8095>(東証プライム)は10月10日に25年11月期第3四半期累計連結業績を発表した。大幅増益だった。ファインケミカル事業とHBC・食品事業が大幅伸長して全体を牽引した。通期連結業績予想を据え置いたが、第3四半期累計の利益進捗率が高水準であり、各利益は3回目の上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は決算発表に対して年初来高値圏から急反落の反応となったが、高配当利回りや1倍割れの低PBRなども評価材料であり、目先的な売りが一巡して上値を試す展開を期待したい。
■25年11月期3Q累計大幅増益、通期利益は3回目の上振れの可能性
25年11月期第3四半期累計連結業績は売上高が前年同期比8.1%増の454億77百万円、営業利益が40.1%増の28億03百万円、経常利益が34.7%増の27億14百万円、親会社株主帰属四半期純利益が43.7%増の16億35百万円だった。大幅増益だった。ファインケミカル事業とHBC・食品事業が大幅伸長して全体を牽引した。
ファインケミカル事業は、売上高(外部顧客への売上高)が12.9%増の171億71百万円、営業利益(全社費用等調整前)が10億80百万円(前年同期は1億32百万円の損失)だった。大幅増収増益だった。医薬品開発エコシステム部門はCMC事業において受注が好調に推移した。医薬品原料プラットフォーム部門は売上高が横ばいだが、付加価値の高い輸入原薬や新薬向け医薬中間体の販売により利益率が改善した。医薬品CDMO(医薬品開発製造受託)部門ではCMO事業の生産能力が向上し、自社原薬製造事業における高付加価値受託品目が増加した。
HBC・食品事業は、売上高が14.4%増の121億47百万円で、営業利益が75.8%増の5億44百万円だった。大幅増収増益だった。食品原料部門、化粧品原料部門、ライフサイエンス部門は全体として需要が伸び悩んだが、化粧品製品部門で既存化粧品の販売が増加したほか、韓国コスメの輸入化粧品「Torriden」シリーズの新製品投入効果も寄与した。
医薬事業は売上高が10.1%増の93億18百万円、営業利益が17.9%減の8億81百万円だった。医薬品部門は後発医薬品ルリコナゾール「イワキ」などの販売が増加したが、研究開発費の前倒しにより販管費が増加した。美容医療部門では医療機関専売化粧品「NAVISION DR」シリーズが伸長した。
化学品事業は売上高が12.3%減の68億08百万円、営業利益が44.6%減の4億12百万円だった。表面処理薬品部門は需要回復遅れ、表面処理設備部門は得意先の設備投資一巡が影響した。
その他事業(石川県奥能登地域における社会課題解決を目的としたソーシャルインパクト事業)は、売上高が33.7%増の31百万円、営業利益が2億78百万円の損失(前年同期は96百万円の損失)だった。
全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が143億34百万円で営業利益が10億32百万円、第2四半期は売上高が157億68百万円で営業利益が11億90百万円、第3四半期は売上高が153億75百万円で営業利益が5億81百万円だった。
通期の連結業績予想(25年7月11日付で売上高を1回目の上方修正、各利益を2回目の上方修正)は据え置いて、売上高が前期比10.4%増の640億円、営業利益が10.1%増の31億円、経常利益が3.4%増の29億円、親会社株主帰属当期純利益が18億円(前期は減損損失計上では25億25百万円の損失)としている。配当予想も据え置いて前期と同額の18円(第2四半期末9円、期末9円)としている。予想配当性向は40.3%となる。
通期予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高71%、営業利益90%、経常利益94%、親会社株主帰属当期純利益91%である。第3四半期累計の利益進捗率が高水準であり、各利益は3回目の上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。
■株価は上値試す
株価は決算発表に対して年初来高値圏から急反落の反応となったが、高配当利回りや1倍割れの低PBRなども評価材料であり、目先的な売りが一巡して上値を試す展開を期待したい。10月10日の終値は490円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS44円63銭で算出)は約11倍、今期予想配当利回り(会社予想の18円で算出)は約3.7%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS624円60銭で算出)は約0.8倍、そして時価総額は約201億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)