トレジャー・ファクトリー、26年2月期増収増益見通し、既存店好調で上振れ・連続増配期待
- 2025/10/23 07:56
- アナリスト銘柄分析

トレジャー・ファクトリー<3093>(東証プライム)は、総合リユース業態のトレジャーファクトリーや服飾専門リユース業態のトレファクスタイルなどリユースショップを複数業態で全国展開し、成長戦略としてSDGs推進とともに、生活に密着したリユースの総合プラットフォーム構築を目指している。26年2月期も増収増益予想としている。第2四半期累計(中間期)は増収増益と順調だった。既存店売上が好調であることを勘案すれば通期会社予想は上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は9月の年初来高値圏から急反落し、さらに第2四半期累計業績も嫌気する形で急落したが、売り一巡感を強めている。好業績を再評価して出直りを期待したい。
■リユースショップを複数業態で全国展開
総合リユース業態のトレジャーファクトリーや服飾専門リユース業態のトレファクスタイルなど、リユースショップを複数業態で首都圏・直営店中心に全国展開している。25年7月には新業態としてトレファク楽器1号店をオープンした。また周辺事業・新規事業として、BtoBライブネットオークション事業、引越・買取サービスのトレファク引越事業、不動産売買・仲介を行うトレファク不動産事業、終活・生前整理サービスのレガシー事業、ドレスやブラックフォーマルをレンタルするECレンタル事業「Cariru」なども展開している。
M&A・アライアンスとしては、20年10月に静岡県中心にリユースショップ直営店を展開するピックアップジャパンを子会社化、23年10月に愛知県中心にゴルフ専門リユースショップ「ゴルフキング」を展開するアクオを子会社化、24年2月にゴルフ専門リユースショップ「ゴルフキッズ」を展開する子会社GKファクトリーがアクオを吸収合併した。また25年11月1日付(予定)には、エンプティが運営する無人店舗型ドレスレンタルサービス「Empty Dressy」事業を譲り受ける。
海外はタイ(16年3月進出)のバンコクで直営店を展開し、台湾では現地法人Treasure Factory(21年4月設立)が22年12月に1号店をオープンした。また25年9月には米国に連結子会社を設立した。
25年10月末時点の店舗数は、グループ合計314店舗(タイ5店舗と台湾2店舗を含むトレジャーファクトリーが106店舗、トレファクスタイルが99店舗、トレファクスポーツアウトドアが9店舗、ブランドコレクトが8店舗、ユーズレットが12店舗、トレファクマーケットが2店舗、トレファク楽器が1店舗、子会社のカインドオルが40店舗、ピックアップが14店舗、ゴルフキッズが14店舗、ゴルフキングが9店舗)で、このうち直営店は282店舗となっている。
生活に密着したリユースの総合プラットフォーム構築を目指し、マルチブランドの業態展開による販売力やマルチチャネルによる仕入力を強みとしている。収益面の季節特性としては、引越シーズンで生活家電や家具の構成比が高まる第1四半期(3月~5月)の利益率が高くなり、単価の低い夏物衣料が主力となる第2四半期(6月~8月)の利益率が低くなる傾向がある。
■28年2月期経常利益56億円目標
中期経営計画(ローリング方式により毎年4月に更新、26年2月期~28年2月期)では、最終年度28年2月期の目標数値として店舗数388店舗、売上高503億円、経常利益56億円、経常利益率9.7%を掲げている。配当性向は30%以上を目標とする。なおM&Aについては織り込んでいない。
基本方針として、リユース事業の成長、新規事業への投資、海外市場での成長、M&Aによる成長、DX投資による成長を掲げている。リユース事業の成長では関東・関西・東海・九州を中心に年間30~40店のペースで出店し、リユースのネットワークを拡大する。新規事業への投資ではコアとなるリユース事業に加えて、相乗効果・補完関係のあるリユース周辺事業等への継続的投資により成長基盤の拡大を図る。海外事業では、タイおよび台湾において事業体制の整備と収益改善を進めながら新規出店を行うほか、新規地域への進出を検討する、M&Aによる成長では、相乗効果・補完関係のあるM&Aを積極的に実行し、成長を加速する。DX投資では、グループ全体のシステム開発力を活用し、ITやAIを使った業務効率化とイノベーションを起こし、新たなビジネス機会の創出を図る。
■26年2月期も増収増益で連続増配予想
26年2月期の連結業績予想は売上高が前期比9.6%増の462億52百万円、営業利益が9.5%増の44億20百万円、経常利益が8.8%増の44億41百万円、親会社株主帰属当期純利益が11.0%増の30億08百万円としている。配当予想は前期比3円増配の39円(第2四半期末19円、期末20円)としている。前期の年間36円には記念配当2円が含まれているため、普通配当ベースでは5円増配となる。予想配当性向は30.4%である。
第2四半期累計(中間期)は売上高が前年同期比14.5%増の224億53百万円、営業利益が10.0%増の19億19百万円、経常利益が11.5%増の19億60百万円、親会社株主帰属中間純利益が8.2%増の12億38百万円だった。
増収増益と順調だった。既存店売上が好調だった。営業利益の前年同期比1億74百万円増益の分析は、単体・既存店影響で3億45百万円増加、単体・当期新店影響で1億70百万円減少、単体・退店影響で61百万円減少、単体・その他影響で2億59百万円減少(店頭買取以外の買取チャネルの人員増加で78百万円減少、第3四半期以降の新規出店の先行コストで20百万円減少、ECや買取強化のための広告宣伝費増加で17百万円減少など)、子会社の利益貢献で3億19百万円増加だった。
主要KPIとして、単体ベースの既存店売上高は前年同期比104.3%(販売件数は104.8%、販売単価は99.6%)だった。6月~7月はインバウンド需要が一時的に鈍化したため計画を下回ったが、8月は計画を大幅に上回った。単体ベースの既存店売上総利益率は64.9%で0.2ポイント低下した。商品ミックス影響(低単価商材の販売好調)で低下した。連結ベースのEC売上比率は0.7ポイント上昇して14.4%となった。連結ベースの仕入高は21.8%増加した。連結ベースの新規出店は合計18店舗、退店は1店舗だった。25年10月末時点のグループ合計店舗数(海外およびFCを含む)は314店舗となった。下期の新規出店(確定分)は第3四半期が10店舗、第4四半期が3店舗となっている。
全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が118億43百万円で営業利益が14億96百万円、第2四半期は売上高が106億10百万円で営業利益が4億23百万円だった。収益面の季節特性としては、引越シーズンで生活家電や家具の構成比が高まる第1四半期(3月~5月)の利益率が高くなり、単価の低い夏物衣料が主力となる第2四半期(6月~8月)の利益率が低くなる傾向がある。
通期の連結業績予想は据え置いて増収増益予想としている。前提として単体ベースの既存店売上は前期比102%、連結ベースの売上総利益率は0.8ポイント上昇の59.9%、販管費比率は0.9ポイント上昇の50.4%としている。
第2四半期累計の進捗率は売上高49%、営業利益43%、経常利益44%、親会社株主帰属当期純利益41%だった。利益進捗率がやや低水準の形だが、これは単価の低い夏物衣料が主力となる第2四半期の利益率が低くなる季節要因のためであり、概ね例年通りの進捗率である。外部環境の不透明感を考慮して保守的な前提としているが、既存店売上の好調を勘案すれば通期会社予想は上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。
なお月次売上状況(単体直営店の店舗売上、前年同月比速報値)を見ると、25年9月は全店が114.5%、既存店が105.7%(21年9月から49ヶ月連続前年比プラス)だった。9月は月後半の気温低下に伴って秋物衣料の販売が伸長したほか、インバウンド売上の増加により服飾雑貨が堅調だった。またホビー用品、スポーツ用品、アウトドア用品なども順調だった。25年3月~9月の出店は18店舗、退店は1店舗だった。
■株主優待制度は毎年2月末の株主対象
株主優待制度(詳細は会社HP参照)は、毎年2月末時点の1単元(100株)以上保有株主を対象として実施している。
■株価は売り一巡
なおJPX総研および日本経済新聞社が共同で算出するJPX日経中小型株指数の25年度(25年8月29日~26年8月28日)の構成銘柄として選定された。
株価は9月の年初来高値圏から利益確定売りで反落し、さらに第2四半期累計業績も嫌気する形で急落したが、売り一巡感を強めている。指標面に割高感はなく、好業績を再評価して出直りを期待したい。10月22日の終値は1663円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS128円37銭で算出)は約13倍、今期予想配当利回り(会社予想の39円で算出)は約2.3%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS444円44銭で算出)は約3.7倍、そして時価総額は約405億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)