【マーケットセンサー】拡大する「ブラックフライデー」経済圏、EC主導の消費行動変化

■アメリカ発祥セールが国内で定着、購買ピークの再編が進行

 米国発祥の大規模セールイベント「ブラックフライデー」が、日本の年末商戦においても確固たる地位を築きつつある。もともと感謝祭翌日の金曜日に小売各社が大幅値引きを行う商習慣に端を発する同イベントは、1960年代にフィラデルフィアの警察が混雑を形容した呼称が由来とされ、後に「赤字から黒字へ転じる日」という意味が広がった。日本では2016年にイオンが大型販促として本格導入し、以降、総合スーパー、家電量販店、EC各社が参入した。現在ではイオンにとって年始商戦に次ぐ規模に成長し、毎年2桁増の売上を記録している。

■2024年は売上20%増が35%の企業に、デジタル消費が商戦を牽引

 2024年にはブラックフライデーを実施した小売企業の35%が売上20%増を達成し、期間の売上は前年比23%増、収益は26%増となった。衣料品は年間で最も消費が多い週となり、物価上昇局面では日用品のまとめ買いや家電買い替え需要の前倒しが顕著である。オンライン来訪者数は15%増、コンバージョン率は20%増と、デジタル化の追い風で存在感が一段と増している。この結果、11~12月にかけての需要が前倒しされ、家計消費の季節パターン自体が変容しつつある。

■株式市場では小売・EC・物流・決済など広範囲が関連テーマに浮上

 株式市場ではブラックフライデーが重要テーマとして定着している。総合小売ではイオン、セブン&アイ・ホールディングス、イオンモールが販促の中心を担い、ECでは楽天グループやLYCORPがポイント還元策などと連動して流通総額拡大を狙う。家電量販ではヤマダホールディングス、ビックカメラ、エディオンが高単価商品の値引き戦略を展開し、月次売上・利益率が注目材料となる。物流はヤマトホールディングスやSGホールディングスが取扱増の恩恵を受ける一方、人件費増とのバランスが焦点である。決済関連ではGMOペイメントゲートウェイやPayPayを展開するソフトバンクグループがキャッシュレス拡大を追い風とする。

■AIによる販促最適化とOMO強化で新局面へ、投資家は成長ストーリーを注視

 今後はAIやデータ分析を活用した販促最適化、オンラインとオフラインを統合するOMO施策が加速する見込みだ。実施企業と未実施企業の間には月間売上成長率に明確な差が生じており、各社の戦略強化は不可避となっている。株式市場では短期指標にとどまらず、利益率との両立や、EC・物流・決済を含むエコシステム型の中長期成長シナリオをどう評価するかが重要である。ブラックフライデーは日本においても商戦期の一角として定着しており、小売・EC・サービス業の投資テーマとして今後も注目が続くとみられる。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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