アスクル、ランサムウェア被害の復旧第10報を公表、12月上旬に通常注文再開へ

■段階的復旧が進展、直送品拡大で出荷体制を補完

 アスクル<2678>(東証プライム)は11月19日、10月19日に発生したランサムウェア攻撃に伴うシステム障害について、第10報となるサービス復旧状況を公表した。事業所向けサービスであるASKULを最優先とし、セキュリティ対策を強化したうえで段階的に注文受付と出荷を再開している。ソロエルアリーナWebサイトでの注文再開やFAX注文枠の拡大など、復旧工程の要となる一連の試験運用が継続されている。Webサイトからの通常注文については、出荷オペレーションの安定確認を前提に12月上旬の再開を見込んでいる。

■在庫品6000アイテムを直送品化し、供給網の柔軟性を確保

 同社は復旧計画を「第1弾」「第2弾」、およびその拡大フェーズに区分し、対象顧客・商品・出荷拠点を段階的に広げてきた。第2弾では箱単位注文に加え、医療機器・衛生材料など477アイテムの単品注文を取り扱い、東京DCを拠点とする出荷トライアルを開始した。さらに第2弾の拡大では、従来の直送品に加えて在庫品約6000アイテムを直送品として提供する仕組みを導入し、サプライヤー拠点からの出荷再開を進めている。これにより通常出荷に近い品ぞろえを確保しつつも、物流センターを介さない形の運用により出荷能力の制約を一定程度緩和している。

 一方、その他サービスでは状況が分かれ、ビズらくとSOLOELは安全確認の上で通常提供が継続される一方、LOHACOやパプリ、外部カタログ連携は再開時期が未定としている。システム障害および情報流出への対応では、詳細ログ解析や監視体制を継続し、対象顧客への連絡、関係当局への報告を進めている。同社は利用者と関係者に改めて謝意を示し、全面復旧に向けて全社で取り組む姿勢を示した。進捗は今後も随時公表される予定である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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