協立情報通信、中間期大幅増益で通期上振れ期待、ソリューション・モバイル両事業が好調
- 2025/11/20 08:02
- アナリスト銘柄分析

協立情報通信<3670>(東証スタンダード、名証メイン)は、中堅・中小企業のICT化を支援するソリューション事業、およびドコモショップ運営と法人向けモバイルソリューションのモバイル事業を展開し、成長戦略として事業ポートフォリオの再構築、継続収益の拡大、サステナブル経営などを推進している。26年3月期は大幅増益予想としている。ソリューション事業、モバイル事業とも順調に推移し、モバイル事業の収益改善も見込んでいる。中間期が大幅増益で進捗率も高水準だったことを勘案すれば、通期利益予想は上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は反発力が鈍く小幅レンジでモミ合う形だが、調整一巡感を強めている。出直りを期待したい。
■ソリューション事業とモバイル事業を展開
中堅・中小企業のICT(情報通信技術)化を支援するソリューション事業、およびドコモショップ運営と法人向けモバイルソリューションのモバイル事業を展開している。
25年3月期セグメント別業績はソリューション事業の売上高が16億63百万円で営業利益(全社費用等調整前)が4億82百万円、モバイル事業の売上高が28億12百万円で営業利益が2億32百万円、営業利益の全社費用等調整額が▲4億16百万円だった。
ソリューション事業は、NEC<6701>、NTTドコモ<9437>、オービックビジネスコンサルタント<4733>、日本マイクロソフト、サイボウズ<4776>の主要パートナー企業5社の製品・サービスを融合し、会計情報ソリューションやマイクロソフト365サービスなど情報インフラ、情報コンテンツ、情報活用の3分野を総合したワンストップソリューションの経営情報ソリューションサービスを提供している。体感型フューチャーラボの「協立情報コミュニティー」において、製品活用体験セミナー、フェア、イベント、システム導入相談会、教育サービスなどを提供していることも特徴だ。
モバイル事業はNTTドコモの一次代理店であるティーガイア<3738>の代理店として、ドコモショップ5店舗(東京都内2店舗、埼玉県内3店舗)を運営し、個人向けモバイル端末などの店頭販売、および法人向けモバイルソリューション(ドコモ法人・モバイルサービス)を展開している。
■中期経営計画
成長戦略として事業ポートフォリオの再構築、継続収益の拡大、サステナブル経営を推進している。
事業ポートフォリオの再構築では、収益構造(売上高)の目標として、23年3月期実績49.8億円(法人系25.5億円、店舗系24.3億円)から、26年3月期に60億円(法人系40億円、店舗系20億円)へ、さらに長期目標の100億円(法人系80億円、店舗系20億円)を目指すとしている。24年3月期~25年3月期はパートナー共創の強化、融合事業サービスの強化、継続収益サービスの進化、26年3月期以降は事業拡張の強化、営業エリアの拡大、サービス領域の拡大を推進する。
継続収益の拡大では、売上規模の拡大を図りつつ、継続収入金額・比率の目標として、23年3月期実績9億67百万円・19%から、26年3月期に13億80百万円・23%を目指すとしている。クラウドサービスの深化、サブスク型サービスの拡大、サポートサービスの強化などを推進する。
サステナブル経営の推進については、経営理念のもと、すべてのステークホルダーに配慮し、環境負荷低減への貢献、ダイバーシティ推進と人財育成、顧客・パートナーとの共創、コーポレートガバナンスの充実などサステナブル(ESG、DSGs)経営を推進する。
■スタンダード市場上場維持基準適合に向けた計画書
22年4月に実施された東京証券取引所の市場再編に関してはスタンダード市場を選択し、21年12月15日付でスタンダード市場上場維持基準適合に向けた計画書を開示している。中期経営計画で打ち出した基本戦略を着実に遂行し、定量目標の達成による収益力の強化・利益の拡大、株主還元の充実、コーポレートガバナンスの充実、資本政策の検討・実施、IR活動の充実と情報発信の強化などによって企業価値の向上(時価総額の上昇)を図り、26年3月期にスタンダード市場上場維持基準の充足を目指すとしている。
資本政策の検討・実施については、流通株式比率37%以上の維持と株主利益に配慮しつつ、流通株式時価総額の適合に資する各施策(自己株式の処分、非流通株式の縮減、ストック・オプションの従業員行使など)について是非を検討する。
なお25年6月27日付で名証メイン市場へ上場し、東証スタンダード市場との重複上場となった。また25年6月30日には計画に基づく進捗状況(改善期間入り)をリリースした。25年3月末時点で流通株式時価総額がスタンダード市場の上場維持基準を充たしていないが、当初計画通り26年3月期までに上場維持基準を充たすために各種取組を推進する。
■26年3月期大幅増益予想、さらに上振れの可能性
26年3月期の業績予想(非連結、25年6月18日付で公表)は、売上高が前期比11.7%増の50億円、営業利益が20.5%増の3億60百万円、経常利益が21.2%増の3億66百万円、当期純利益が49.0%増の2億56百万円としている。配当予想は前期と同額の55円(期末一括)で、予想配当性向は25.7%となる。
中間期の業績(非連結)は売上高が前年同期比10.1%増の23億76百万円、営業利益が178.6%増の2億52百万円、経常利益が175.1%増の2億55百万円、中間純利益が184.9%増の1億75百万円だった。
大幅増収増益だった。ソリューション事業が大幅伸長したほか、モバイル事業の収益改善も寄与した。
ソリューション事業は、売上高が24.5%増の10億52百万円、営業利益(全社費用等調整前)が30.5%増の3億27百万円だった。大幅増収増益だった。PC・インフラ改善需要が高水準に推移し、奉行クラウド導入による基幹業務シェアード化のDX支援サービス、PBX更改の大型案件獲得および更改をきっかけとしたネットワークインフラ改善提案、モバイル事業の法人サービスと連携した相互のクロスセル活動などを推進した。
モバイル事業は売上高が0.8%増の13億24百万円、営業利益が162.7%増の1億46百万円だった。売上高は通信事業者による端末レンタル施策の影響により横ばいだったが、収益性が改善して大幅増益だった。法人サービス事業は端末サポートサービス収益の増加、店舗事業は端末サポート・ソリューション提案・コンテンツ販売などによるインセンティブや継続収入の比率が上昇した。
全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が10億96百万円で営業利益が1億01百万円、第2四半期は売上高が12億80百万円で営業利益が1億51百万円だった。
通期は大幅増収増益予想としている。中間期の進捗率は売上高が48%、営業利益が70%、経常利益が70%、当期純利益が68%である。中間期が大幅増益で進捗率も高水準だったことを勘案すれば、通期利益予想は上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。
■株主優待制度は毎年3月末の株主対象
株主優待制度は毎年3月末時点で5単元(500株)以上保有株主を対象として、保有株式数に応じて島根県の特産品を贈呈(詳細は会社HP参照)する。
■株価は調整一巡
株価は反発力が鈍く小幅レンジでモミ合う形だが、調整一巡感を強めている。出直りを期待したい。11月19日の終値は1965円、今期予想PER(会社予想のEPS213円72銭で算出)は約9倍、今期予想配当利回り(会社予想の55円で算出)は約2.8%、前期実績PBR(前期実績のBPS1769円47銭で算出)は約1.1倍、そして時価総額は約24億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)



















