アイフリークモバイル、中間期営業黒字転換で収益改善が鮮明、高単価案件獲得でDX事業好調

 アイフリークモバイル<3845>(東証スタンダード)は、電子絵本アプリや知育アプリなどのコンテンツ事業、およびシステム受託開発や人材派遣などのDX事業を展開している。成長戦略として同社の強みである知育アプリ、絵本・IPコンテンツなどの資産を活かすとともに、AIの活用を強化している。26年3月期は赤字予想としている。ただし中間期は営業黒字転換した。積極的な事業展開で収益改善基調だろう。株価は急伸した9月の高値圏から反落してモミ合う形だったが、日柄調整完了してモミ合いから上放れの動きを強めている。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。

■コンテンツ事業とDX事業を展開

 電子絵本アプリや知育アプリなどのコンテンツ事業、およびシステム受託開発や人材派遣などのDX事業(25年3月期よりコンテンツクリエイターサービス事業の名称を変更)を展開し、AIの活用を強化している。また経営の合理化および組織運営の効率化を図るため、24年4月に子会社アイフリークスマイルズを吸収合併、24年10月に子会社I-FREEK GAMESを吸収合併した。

 25年3月期のセグメント別業績は、コンテンツ事業の売上高が87百万円で営業利益(全社費用等調整前)が42百万円の損失、コンテンツクリエイターサービス事業の売上高が18億79百万円で営業利益が2億27百万円、営業利益の調整額が▲2億83百万円だった。

 なお25年10月8日付で主要株主および主要株主である筆頭株主の異動を発表した。INTERACTIVE BROKERS LLCが新たに主要株主および主要株主である筆頭株主(25年9月30日現在の議決権所有割合20.69%)に該当することになった。また25年11月21日付で株式の売出しおよび主要株主の異動を発表した。主要株主である辛澤(同社取締役)が保有する同社株式のうち350万株について、Sumo Japan Ventures Segregated Portfolio of Fundviews SPC Ltd.との間で相対取引による株式譲渡契約を締結した。異動予定日は25年12月5日である。

■コンテンツ事業は知育アプリなど

 コンテンツ事業は、デコメ・絵文字・スタンプ・壁紙などのデジタル素材「デココレ」や、知育アプリ「あそびタッチ」などの低年齢層向けファミリーコンテンツなどを展開している。なお電子絵本アプリ「森のえほん館」については25年7月31日をもってサービスを終了した。デジタルコンテンツは、クリエイター支援WEBサイト「CREPOS」によって約1万人の外部登録クリエイターを組織化し、20万点以上のデジタル資産を有している。

 24年1月には、レジャー・エンターテインメント施設向けソリューションを提供するORIGRESS PARKS(東京都)の第三者割当増資を引き受けて資本業務提携した。クリエイターネットワーク「CREPOS」と、ORIGRESS PARKSのレジャー・エンターテインメント施設ネットワークを活用し、24年4月より共同事業として、エンターテインメント施設向けキャラクター活用サービス「アイフレス」を開始した。

 24年7月には子ども向け絵本専門YouTubeチャンネル「ポポキッズ」において、画像生成AIを活用したデジタル絵本動画「世界が終わる前に」の配信を開始した。25年2月には「ポポキッズ」のチャンネル登録者数が12万人を突破した。

 25年1月にはクリエイターネットワーク「CREPOS」所属のクリエイターとTOPPAN社がコラボレーションを行い、東京ビッグサイトで開催された「東京eスポーツフェスタ2025」において、体験型コンテンツとして実施された「グッドラックゲーム」のイメージキャラクターを提供した。25年3月にはクリエイターネットワーク「CREPOS」所属クリエイターと協力し、名古屋テレビネクストが運営するダンス専門テレビ局「ダンスチャンネル」のチャンネル10周年応援キャラクターを制作・提供した。

 25年8月には、レオス・キャピタルワークスと未就学児向けの投資の基本を学べる絵本「ありがとうをつたえたら」を制作し、YouTubeチャンネル「ポポキッズ」で配信開始した。25年10月には「ポポキッズ」の人気絵本4作品について、大日本印刷(DNP)と共同でアニメーション動画にした「ライトアニメ」を制作し、Netflixにて国内独占配信を開始した。

 25年11月には、みずほフィナンシャルグループの金融経済教育につながる絵本「ひらめきモモタロウ~お金と知恵で解決!?鬼ヶ島の改造計画~」の制作と全国の小学校(約3000校)への寄贈に関するサポートを行った。

■DX事業はシステム受託開発や人材派遣など

 DX事業は、WEBコンテンツ制作・システム受託開発、人材派遣などを展開している。22年10月には、NHN JAPANグループのNHN テコラス社が提供する「テコラス パートナープログラム」に参画した。NHN テコラス社は日本に12社しかないアマゾン ウェブ サービス(AWS)の最上位プレミアティア サービスパートナーとして、AWSを中心としたITインフラ総合支援サービスを提供している。NHN テコラス社が提供する多様なサービスを活用することでビジネス拡大を推進する。

■成長戦略

 成長戦略として、コンテンツ事業では同社の強みである知育アプリ、絵本・IPコンテンツなどの資産を活かし、生成AIなどの新たな技術も掛け合わせた教育コンテンツ(プログラミング等)を強化する。DX事業では生成AI、データサイエンス、クラウドコンピューティングなど、専門領域に特化したエンジニアの育成を進めながら商流改善を行い、高単価案件の獲得を推進する。そしてDX事業を基盤として、コンテンツ事業の収益化により永続的成長を目指す。

■26年3月期赤字予想だが中間期営業黒字転換して収益改善基調

 26年3月期の業績(非連結)予想は、売上高が前期比9.4%減の18億16百万円、営業利益が60百万円の損失(前期は61百万円の損失)、経常利益が63百万円の損失(同50百万円の損失)、当期純利益が63百万円の損失(同1億10百万円の損失)としている。

 重点施策として、コンテンツ事業では知育アプリ開発・施策に注力して売上の底上げを図るほか、絵本制作・活用およびAIを活用した絵本事業によるBtoB販路拡大などを推進する。DX事業では生成AI、データサイエンス、クラウドコンピューティングなど専門領域に特化したエンジニアの育成を進めながら、商流改善や高単価案件獲得を推進する。

 中間期の業績(非連結)は売上高が9億60百万円、営業利益が10百万円、経常利益が13百万円、中間純利益が13百万円だった。前期第3四半期より非連結決算に移行したため、前年同期の連結業績(売上高12億40百万円、営業利益49百万円の損失、経常利益41百万円の損失、親会社株主帰属中間純利益0百万円)との比較で見ると、売上面は減収だが、利益面はDX事業が牽引して営業黒字転換した。

 コンテンツ事業は売上高が14百万円で営業利益(全社費用等調整前)が6百万円の損失(前年同期は連結売上高66百万円で営業利益12百万円の損失)だった。経営資源を成長分野へ集中させる戦略的判断で「森のえほん館」サービスを終了(25年7月末)した影響などで減収だが、外注加工費や広告宣伝費の削減などにより営業損失縮小した。

 DX事業は売上高が9億46百万円で営業利益が1億35百万円(前年同期は連結売上高11億73百万円で営業利益85百万円)だった。25年4月より組織の一本化を実施し、新たな事業推進体制のもと、生成AI・データサイエンス・クラウドなどの専門領域に特化した人材育成を進めながら、高単価案件の獲得を推進した。

 なお全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が4億91百万円で営業利益が7百万円、第2四半期は売上高が4億69百万円で営業利益が3百万円だった。

 通期の業績(非連結)予想は据え置いて先週・赤字予想としている。ただし中間期は営業黒字転換した。積極的な事業展開で収益改善基調だろう。

■株価は上値試す

 株価は急伸した9月の高値圏から反落してモミ合う形だったが、日柄調整完了してモミ合いから上放れの動きを強めている。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。11月26日の終値は250円、前期実績PBR(前期実績のBPS40円08銭で算出)は6.2倍、そして時価総額は約56億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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