【どう見るこの相場】コーポレート・イベント株はご祝儀相場に株高持続可能性

どう見るこの相場

 2021年度相場も折り返し、29日の月替わり商いから10月相場入りとなる。かつてこの10月相場は、新営業年度入りとして証券会社が揃って全支店に大号令を発し、「皆で買えば怖くない」とお神輿を担ぐご祝儀相場が始まったものである。さすがにこの往時の悪名高い営業推奨方式は、バブル崩壊とともに襟を正した証券業界から姿を消し、旗振り役に役不足が続いている。それでも、今年10月1日は、いくつかのケースでご祝儀相場がありそうで、このご祝儀相場に持続可能性があるかどうか試してみる価値はありそうだ。

 足元のご祝儀相場で最大と予想されるケースは、何といっても9月29日に選ばれる自民党の新総裁、10月4日にも発足する菅後継内閣への歓迎相場だろう。9月3日の菅義偉首相の自民党総裁選挙への不出馬表明以来、大挙して日本株買いを敢行した海外投資家は、河野太郎行政改改革担当大臣乗りでお神輿を担いだといわれていただけに、混戦模様との観測報道が続くなか、この筋書き通りに総裁選挙が運べば全面高展開が期待される。また再延長された東京都などに再発出されていた4回目の緊急事態宣言が、再期限通りに9月30日に目出度く解除となれば、経済活動の正常化期待を高めて、アフター・コロナ株を中心にご祝儀相場が想定される。

 さらに、9月13日付けの当特集で取り上げた「改正木材利用促進法」も、10月1日が施行日となっており、木材関連株は、自民党の新総裁の再生エネルギー政策、「2050年カーボンニュートラル」を実現するサポート銘柄として、新総裁選出のご祝儀相場に相乗りとなる可能性もある。なお、10月1日に自治体からの整備計画の申請が始まる統合リゾート(IR)関連株は、菅首相のお膝元の横浜市市長選挙で、カジノ反対派市長が、菅首相支援の候補を破って当選した「横浜ショック」の逆風後退が、再人気化の前提となりそうだ。

 これよりスケールは小さいながらも、10相場入りとともに期待されるご祝儀相場セクターもいくつか想定される。コーポレート・イベントを実施する銘柄で、具体的には10月1日に株式移転により持株会社化・経営統合されて新規株式上場(IPO)される銘柄群であり、10月1日に社名(商号)を変更する銘柄であり、10月1日出荷分から製品・サービス価格を値上げする銘柄などである。このうち製品・サービス価格の値上げは、食油株が、今年6月から8月まで海上運賃の高騰と原料価格の上昇を価格転嫁するため毎月のように値上げし、値上げとともに株価も高値反応はしたものの、相対的にはボックス内の動きにとどまっており、10月1日のたばこ、和・洋菓子、家庭用マーガリン、電気・ガス料金などの値上げについては株高持続性にやや疑問符がつく。

 そこで今週の当特集では、なお中国恒大集団のデフォルト懸念が、世界的なショック安材料として燻っているなかで、一部コーポレート・イベン銘柄に注目した。このうち10月1日に経営統合される持株会社は、全10銘柄から株価的に中立の単独株式移転方式による持株会社化の6社を除く、共同株式移転方式により経営統合される4銘柄、社名変更でも新社名にそれだけの企業メッセージ、思い入れが窺われる3銘柄、株式分割銘柄も、権利落ちで買い易い株価水準となった一部主力株などで、株高持続性に期待したい。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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