戻り探る展開、NYダウ・円高・内閣の3つの行方見守る=犬丸正寛の相場展望

犬丸正寛

 日経平均は、週末に900円を超える急反発を見せた。これまでの連続大幅安に対するリバウンドといえる。外部環境が大きく好転したという状況ではないだけに戻りには限界があるとみられるが、今後は、(1)NYダウの行方、(2)円高の行方、(3)安倍政権の行方~という3つの行方が注目点となりそうだ。

 悪材料視された原油相場は一時26ドル台まで下げた。今後も軟調が予想され、各種の報道では15~17ドルという見方がされている。しかし、株式マーケットではかなり織込まれてきたのではなかろうか。なぜなら、「極論」すれば、原油が、仮に「0」となったとしてもここから20ドル余であり、100ドル前後から26ドルまで急落したことと比べると変化率としては大きいものではない。ましてや、伝えられる15ドルまで下げるとしてもここから10ドル余りである。

 ただ、原油安に伴う産油国の収入減と資金不足から先進国の金融商品を換金売りすることは考えられる。実際、日本株急落の背景にはオイルマネーの売りがあったと言われる。22日に日経平均が急反発したことはオイルマネーの第1弾の売り注文は一巡した可能性はありそうだ。今後も売りが出るのかどうかには引き続き注意が必要だ。

 NYダウは、昨年8月25日の安値(終値)1万5666円に対し100ドルのところまで下げたが、なんとか踏み止まっている。このまま底打ちとなるかどうかは今の時点では分からない。ただ、29日の米10~12月のGDP発表、さらに、2月5日発表の雇用統計において共に良好な数字ということなら足元の景気堅調を評価して反発に転じる可能性はありそうだ。

 一方、日本国内では、安倍内閣が重要閣僚の資金問題でガタついている。内閣支持率が回復に向かっているときであり、かつ、参議院選挙を控えているタイミングだけに問題が長引くとマーケットにもマイナス材料である。

 円高傾向も続いている。円高というより、「ドル安」というほうが正解と思われる。利上げ後アメリカとしては、今、採れる景気対策はドル安くらいと思われるだけに、この先もドル安(円高)は続く可能性はありそうだ。円高は当然、日本の主力(輸出関連)銘柄にはマイナス材料だけに、この先、発表の控えている3Q決算で利益下方修正の心配がある。

 仮に、下方修正でも小幅なら株価には、あるていど織込んでいるとみられるが、大きいものとなれば影響は避けられないだろう。

 来週は、NYダウの動向を睨みながら上値を探る展開が予想される。

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