【アナリスト水田雅展の銘柄分析】立花エレテックは高値更新の展開、今期業績再増額の可能性など評価して上値追い

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 電機・電子技術商社の立花エレテック<8159>(東1)の株価は高値更新の展開となり、12月30日には1727円まで上伸した。今期(15年3月期)業績見通しの増額修正や今期末の株式分割も好感した。今期業績見通しに再増額の可能性があり、低PERや低PBRも評価して上値追いの展開だろう。ロボット関連や3Dプリンタ関連のテーマ性も注目材料だ。

 FAシステム事業、半導体デバイス事業を主力として、施設事業、産業デバイスコンポーネント事業、その他事業(ソリューション事業とMS事業)を展開している。MS(マニュファクチャリング・サービス)事業は金属加工の製造受託(MMS)と電子機器の製造受託(EMS)を統合した事業である。

 積極的なM&A戦略を推進し、10年にFA機器専門商社の大電社を完全子会社化、12年に関東圏を地盤とするFA機器専門商社の高木商会と資本・業務提携して持分法適用会社化(14年12月、株式を追加取得して連結子会社化)した。13年2月には、ルネサスエレクトロニクス<6723>の販売子会社からコンポーネント事業と半導体製品再販事業の移管を受けて、子会社の立花デバイスコンポーネントを設立した。海外は中国などアジア地域に子会社8社で合計14営業拠点を展開している。

 技術商社の強みを活かして海外ビジネスの拡大、グループシナジーの追求、事業領域の拡大、営業力強化と体質改善などを推進している。中期成長に向けた重点戦略としては、FAシステム事業ではロボット関連の強化、半導体デバイス事業では品揃えの強化、施設事業では年間売上高150億円への挑戦、産業デバイスコンポーネント事業では事業再構築などを掲げている。なお16年3月期スタートの中期経営計画を15年3月期中に策定するようだ。

 今期(15年3月期)の連結業績見通しについては、持分法適用会社の高木商会を連結子会社化(12月26日付)することに伴い、12月12日に増額修正した。

 前回予想(5月12日公表、5月19日一部訂正)に対して、売上高は40億円増額して前期比5.7%増の1500億円、営業利益は1億円増額して同12.2%増の49億円、経常利益は50百万円増額して同4.1%減の54億円、純利益は16億円増額して同38.4%増の53億円とした。純利益については特別利益に負ののれん発生益を計上することも寄与する。

 なお配当予想については前回予想(5月12日公表)を据え置いて年間22円(第2四半期末11円、期末11円)としている。

 FAシステム事業のプログラマブルコントローラなど好採算分野の受注が好調であることや、設備投資関連は第4四半期(1月~3月)の構成比が高くなる収益構造を考慮すれば通期再増額の可能性があるだろう。

 また12月12日に株式分割を発表した。15年3月31日を基準日(効力発生日15年4月1日)として1株を1.2株に分割する。

 株価の動きを見ると、12月中旬に地合い悪化の影響などで一時的に調整する場面があったが、素早く切り返して高値更新の展開となり、12月30日には1727円まで上伸した。中期成長力に加えて、12月12日発表の今期業績見通しの増額修正や今期末の株式分割も好感したようだ。

 12月30日の終値1715円を指標面(15年4月1日付株式分割前)で見ると、今期予想連結PER(増額修正後の会社予想連結EPS244円37銭で算出)は7倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間22円で算出)は1.3%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS2130円80銭で算出)は0.8倍近辺である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線、週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなって強基調の形だ。今期業績見通しに再増額の可能性があり、低PERや低PBRも評価して上値追いの展開だろう。

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