【編集長の視点】ファーストブラザーズは最安値から急反発、連続最高業績・自己株式取得にマイナス金利人気がオンし超割安修正

編集長の視点

 ファーストブラザーズ<3454>(東マ)は、136円高の1144円と4営業日ぶりに反発して始まり、前週末12日取引時間中につけた上場来安値975円からの底上げを鮮明化している。同社の今11月期業績が連続して過去最高更新と予想され、自己株式取得の株主還元策も実施するうえに、日銀が今年1月29日に決定したマイナス金利導入の追加金融緩和策でビジネス機会が拡大するとして、超割安の内需株買いが再燃している。新規事業として、約200億円を投資して三重県多気町で産学官連携の滞在型複合施設の建設を進めていることなども、業績高成長期待を高めている。

■投資運用事業の手数料収入が伸び投資銀行業務の賃料収入も寄与

 同社の業績は、昨年2月の新規株式公開(IPO)後の初決算となる前2015年11月期業績が、昨年4月、10月と2回も上方修正され、実際にはこの再上方修正値を上ぶれて着地し過去最高を更新した。今2016年11月期業績も、売り上げは124億8200万円(前期比2.73倍)と大幅増収転換するとともに、営業利益が30億5200万円(同7.8%増)、経常利益が27億7800万円(同4.5%増)、純利益が16億8100万円(同1.2%増)と続伸を予想、純利益は、連続して過去最高を更新する。同社は、不動産投資・証券化のプロフェショナル集団として、不動産私募ファンドの共同投資を行う投資運用事業と、自己勘定で賃貸不動産からの賃料収入を獲得する投資銀行事業を展開しているが、投資運用事業ではファンド投資案件の売却関連の手数料が拡大し、投資銀行事業でも、賃貸不動産への積極投資を続け、賃料収入が増加することなどが寄与する。

 一方、自己株式取得は、株主への利益還元を図るとともに、経営環境の変化に対応した機動的な資本政策を遂行することを目的に実施するもので、取得上限を21万6675株(発行済み株式総数の3.0%)、取得総額を3億5000万円、取得期間を今年1月25日から3月31日までとして市場買い付けした。同資本政策は、前週末12日までに21万6600株(取得総額2億8565万円)を取得して終了しており、今後はこの効果が株価面にも表面化する方向にある。

 なお日銀が決定したマイナス金利導入では、長期金利や銀行預金金利の低下に伴い、住宅ローン金利の低下も加わってより収益物件への投資が活発化すると観測されており、同社のビジネスチャンスが拡大する。

■PER4倍台、PBR1倍ソコソコの修正で底上げを加速

 株価は、公開価格2040円でIPOされ2090円で初値をつけ、昨年4月の前期業績の1回目の上方修正で上場来高値3265円まで買い進まれたが、最高値後は前期業績の再上方修正、今期業績の続伸予想などにも限定的な反応にとどまり、全般相場急落とともに1016円安値まで調整した。同安値からは自己株式取得と日銀のマイナス金利導入で1550円まで底上げしたが、全般相場の先行き不透明化から再調整、上場来安値975円に突っ込んだ。PERは4倍台、PBRは1.04倍と超割安であり、一段の底上げを加速しよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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