【編集長の視点】アイリッジは上場来安値から続急伸、「popinfo」のユーザーの3100万人突破で業績期待を高める

編集長の視点

 アイリッジ<3917>(東マ)は、寄り付きの74円安から切り返し125円高の3150円と続急伸し、今年2月12日につけた上場来安値2647円からの底上げを鮮明化している。きょう16日の日経平均株価が、前日の1069円高の急伸の反動で206円安と反落してスタートしていることから、寄り付き段階では同社株にも目先の利益を確定する売り物が先行した。ただ安値後は、目下、同社は今7月期第2四半期(2Q)累計業績を集計中で、3月11日に発表を予定しており、位置連動型のスマートフォン向け情報配信サービス「popinfo」の今年1月末のユーザー数が、3100万人を突破したことを見直し業績期待を高めて買い直されている。また、相次いで金融工学とインターネットを融合したフィテック関連の新サービスを展開していることも、フィンテック関連株人気の再燃につながっている。

■今期1Q末から2Q末に400万人超伸びライセンス料の月額報酬も好調

 「popinfo」は、消費者をWebサイトやアプリを通じて情報を提供することによって実店舗への集客や販売促進をサポートする「O2O(オンラインtoオフライン)」サービスで、導入企業は、小売・流通、金融、電鉄などの大手企業を中心に300アプリを超え、アイリッジは、この「O2O」のリーディングカンパニーの位置にある。同サービスのユーザー数は、スマートフォン対応型をスタートさせた2010年7月から半期で500万人増のペースで大きく伸び、今7月期第1四半期(1Q)の昨年10月末に2686万人と前期末の7月に比べ283万人増となった。このため「popinfo」のライセンス料の月額報酬も前年同月比60.1%増と大幅続伸し、1Q業績は、前年同期比91.1%増収、2.5倍経常増益、66.5%純益増益となった。

 ユーザー数は、このあとも増加し、今期2Q末の今年1月末には3100万人を超えた。同社の今期2Q累計業績は、期初に売り上げ4億7700万円、経常利益5400万円、純利益3600万円、また7月通期業績は、売り上げ11億円(前期比47.7%増)、経常利益2億円(同85.1%増)、純利益1億3300万円(同85.0%増)とそれぞれ予想されたが、ユーザー数の急ピッチな増加を背景に業績上ぶれ期待につながっている。

 また、同社は、昨年12月に事業提携したテックビューロ(大阪府大阪市)とテックビューロのセキュリティ関連のブロックチェーン技術「mijin」とアイリッジのO2Oと融合させて、金融機関向けにポイント残高や電子マネー残高などの情報を管理するフィンテック関連のスマートフォン用アプリの共同開発を開始したことも、中期的な業績成長要因として注目されている。

■底打ち示唆の最高値の「半値八掛け二割引き」目前水準から底上げが加速

 株価は、昨年7月の新規株式公開(IPO)時の公開価格1200円に対して、6350円で初値をつけ上場来高値7830円まで買い進まれたが、昨年夏の中国ショックで2765円安値まで売られ、昨年12月のテックビューロとの事業提携でフィンテック関連株人気を高め2日連続のストップ高を交えて6000円高値まで買い直されたが、足元は再度の世界同時株安のなか上場来安値2647円へ突っ込んだ。この安値は、最高値からの底打ちを示唆する投資セオリーの「半値八掛け二割引き」水準の目前となっているだけに、底値買いが再燃している。IPO以来、再三ストップ高を演じた急騰特性の再現期待も高め底上げ加速が有力となる。(本紙編集長・浅妻昭治)

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