【編集長の視点】昭栄薬品はもみ合いも配当権利落ち後安値から超割安直近IPO株買いが再燃余地

編集長の視点

 昭栄薬品<3537>(JQS)は、80円安の3050円と反落して寄り付いたあと、5円高と小戻すなど前日終値水準でもみ合っている。きょう30日の日経平均株価が、119円安と続落してスタートしたことから、同社株にも目先の利益を確定する売り物が交錯しているものだが、ただ今年3月29日につけた配当権利落ち後安値2935円から出直る動きは強めている。同社株は、今年3月16日に公開価格1350円で新規株式公開(IPO)され2001円で初値をつけ連続3日間のストップ高を交えて上場来高値4385円まで買い進まれる高人気となり、配当権利を落としたが、IPO後初決算となる今3月期純利益が大幅増益と予想されていることを手掛かりにした超割安直近IPO株買いが、下値には続いている。

■今期純利益は旧大阪上場売却で3.6倍の大幅増益で大幅増配も

 同社の今3月期業績は、売り上げ186億2100万円(前期比4.0%増)、営業利益2億9000万円(同21.5%増)、経常利益3億2700万円(同0.6%増)、純利益7億9100万円(同3.61倍)と予想されている。パーム油、ヤシ油などの再生産が可能な環境負荷の低い「オレオケミカル」と総称される油脂化学品を主力取扱商品とする化学品専門商社として、界面活性剤が石鹸、洗剤、シャンプー、化粧品の既存メーカー向けに堅調に推移し、相手先ブランドで販売している家庭用洗剤、業務用洗浄剤の日用品も、予算を上回るペースで推移しており、やや伸び悩んでいる地盤改良剤、コンクリート補強剤などの土木建設資材をカバーしていることなどが要因で、純利益は、旧大阪工場の土地売却益8億2700万円を特別利益に計上することから大幅増益となる。

 この特別利益計上のほか、同社は、1937年12月創業の老舗化学品専門商社として、企業間取引の強化を目的に仕入先の花王<4452>(東1)などの上場会社25社の株式を保有しており、花王の保有時価総額だけで41億円超と同社自身の時価総額約36億円を上回っており、財務的なフトコロの深さも株価材料として意識されている。

 なお今3月期の配当は、すでに権利を落としているが、40円を予定しており、前期の90円に対して昨年11月20日付けで実施した株式分割(1対5)を勘案すると実質で22円の大幅増配となる。

■3日連続ストップ高の急騰特性を発揮してPER3倍台の修正に再発進

 株価は、配当権利落ちでIPO時につけた上場来安値1910円から上場来高値4385円までの急騰幅のほぼ3分の1押し水準まで調整したが、PERはわずか3倍台と超割安評価にとどまっている。再発進は有力で、3日連続でストップ高した急騰特性を発揮し、最高値奪回も期待される。(本紙編集長・浅妻昭治)

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