【編集長の視点】積水ハウスは今期業績が市場予想を下回るが自己株式取得・連続増配でカバーして反発

積水ハウス 1928

 積水ハウス<1928>(東1)は、50円高の1878円まで上げて反発している。前日10日大引け後に1月期決算を発表、前期業績が、昨年9月の上方修正値を下ぶれ、とくに純利益は、4期ぶりに減益転換し、続く今期業績も2期ぶりに過去最高純利益を更新するものの市場コンセンサスを下回るが、同時発表の自己株式取得、連続大幅増配でカバーして内需割安株買いが再燃している。前日の欧州中央銀行による追加金融緩和策で逆に海外市場が波乱展開した影響で、きょう11日の東京市場も、日経平均株価が、主力株売りで276円安と反落してスタートしていることも、ディフェンシブ株買いにつながっている。

■総還元性向60%に向け1300万株の自己株式を取得し配当も64円に増配

 同社の利益配分の基本方針は、中長期的な平均配当性向として最低40%を確保するとともに、純利益の20%をメドに自己株式取得を行い、株主への総還元性向を60%とすることを目標にしている。この基本方針に基づき今2017年1月期配当は、64円(前期実績54円)と4期連続で増配する。また自己株式取得も、上限を1300万株(発行済み株式総数の1.85%)、総額220億円、取得期間を今年3月11日から来年1月31日までとして市場買い付けする。

 この前提となる今1月期業績は、売り上げ1兆9850億円(前期比6.8%増)、営業利益1700億円(同13.6%増)、経常利益1770億円(同10.2%増)、純利益1110億円(同31.7%増)と予想、純利益は、前期に計上した中国関連の減損損失が一巡して2015年1月期の過去最高(902億2400万円)を2期ぶりに大幅に更新する。住宅市場は、2017年4月に予定されている8%から10%への消費税増税前の駆け込み需要やその反動減など不透明要因があるが、省エネ住宅建設の各種支援策などで住宅需要が高まり、戸建住宅事業ではネット・ゼロ・エネルギー・ハウス「グリーンファースト ゼロ」、賃貸住宅事業では3・4階建て住宅などの高付加価値住宅、さらにリフォームトップの実績を活かしてリノベーション事業などの住宅関連ビジネスを拡大することなどが寄与する。

 今期予想利益は、市場コンセンサスを54億円~17億円下回るが、日銀が初導入したマイナス金利で住宅ローン金利が低下しており、前期業績と同様の期中の上方修正の追い風となる可能性もある。

■25日線水準からPER11倍台、配当3.%の割安修正で騰勢加速

 株価は、昨年9月の前期業績の上方修正で2000円台に乗せ、鴻池組グループとの提携で昨年来高値2162.5円まで上値を伸ばしたが、年明け後は世界同時株安に巻き込まれて1608.5円と調整、マイナス金利導入で25日移動平均線を一気に上抜きもみ合っていた。PERは11倍台、配当利回りは3.42%と割安であり、昨年来高値を目指し騰勢加速となろう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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