【編集長の視点】アークランドは反落も大雪特需にTOBの業績効果もオンして押し目買い妙味

アークランドサカモト<9842>(東1)は、前日21日に60円安の1676円と反落して引けた。一部証券会社が、同社の目標株価を引き下げたことや、日経平均株価が48円安と続落したことから目先の利益を確定する売り物が出た。ただ、12月17日に大雪により関越自動車道で多数の自動車が立ち往生する輸送障害や停電が発生し、気象庁の1か月予報でも日本海側の降雪量が多くなると予報されたことで、同社の除雪商品や停電対策商品の需要が拡大するとの期待も底流しており、今後の降雪量次第で押し目にバリュー株買いが再燃する展開も想定される。さらに同社の今2021年2月期業績は、今年9月に上方修正され純利益が6期ぶりに過去最高を更新するが、今年11月9日に株式公開買い付け(TOB)で子会社化したビバホーム(埼玉県さいたま市)が、連結寄与して業績再上ぶれも観測され支援材料視されそうだ。

■前期の記録的な暖冬が大雪に変わり巣ごもり商品とともに除雪商品に好影響

 同社は、新潟県を地盤とする大手ホームセンターで、季節商品が天候の影響を受け増減する。前2019年2月期業績は、春の低温、夏到来の遅れ、記録的な暖冬の影響を受け期初予想を下ぶれ小幅減益転換して着地した。これに対して今2021年2月期業績は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う巣ごもり関連商品の需要拡大で既存店売り上げが2ケタ増と好調に推移している。これに加えて今回の12月早々の大雪は、今後の除雪商品、停電関連商品の需要拡大など前期と真逆にプラスとなり、気象庁の来年1月18日までの1か月予報で日本海側は、北日本も東日本も降雪量が多くなる見通しとされたことも後押し材料となる。

 その2021年2月期業績は、巣ごもり消費関連商品の寄与で今年9月に上方修正され売り上げ1251億7900万円(前期比11.1%増)、営業利益124億7000万円(同30.2%増)、経常利益132億700万円(同27.1%増)、純利益65億7200万円(同35.6%増)と予想され、純利益は、2015年2月期の過去最高(58億2800万円)を6期ぶりに更新する。

 しかもこの業績予想には、今年7月にLIXIL<5938>(東1)から総額518億円のTOBで連結子会社化したビバホームの業績寄与分を織り込んでいない。ビバホームの2020年3月期業績は、売り上げ1885億600万円、営業利益100億1000万円、経常利益93億8900万円、純利益65億9700万円となっており、11月9日の連結子会社化で3カ月強の寄与にとどまるが、今期業績の再上ぶれにつながり期末に向けての注目ポイントとなってくる。

■上値抵抗線の75日線回復で弾みをつけ低PER・PBR修正に再発進

 株価は、コロナ・ショック安に巻き込まれてつけた年初来安値754円から今期業績の増益転換予想で1227円まで底上げし、TOBの評価と今期第1四半期の好調決算で1968円高値、業績上方修正と第2四半期の好調決算の相乗で年初来高値2421円まで大きく買われた。同高値後は、下降トレンド転換した25日移動平均線に上値を抑えられる展開で1700円台まで調整し、今回の証券会社の目標株価引き下げで下ぶれた。PERは10倍台、PBRは0.85倍と下げ過ぎを示唆しており、75日線回復で弾みをつけて上昇トレンド転換し、まず2000円大台へキャッチアップしよう。

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■東京大学発スタートアップが開発、19自由度のヒューマノイドロボット  東京大学発スタートアップH…
  2. ■売却面積は約1.6倍に、総額1,785億円超の譲渡価額  東京商工リサーチは6月30日、2024…
  3. ■従来の検索では見つけられなかった本との出会いを創出  富士通<6702>(東証プライム)傘下の富…
2025年8月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

ピックアップ記事

  1. ■株主還元強化が市場の安心材料に  東京エレクトロン<8035>は8月1日、2025年3月期の業績…
  2. ■市場の霧が晴れ始めた、個別銘柄の好調が投資家を惹きつける  前週31日の植田和男日銀総裁の記者会…
  3. ■利上げか、現状維持か?日銀総裁の決断で明暗分かれる8月相場  日銀の金融政策を巡る不確実性が続く…
  4. ■選挙惨敗の石破首相に退陣要求、政局混迷の行方  まるで狂言の『乳切木』(ちぎりき)を観るようであ…
  5. ■九州地盤銘柄に割安感、福証単独上場企業にも注目集まる  東京エレクトロンやアドバンテストなどの半…
  6. ■参院選で与党過半数割れ、石破政権の行方不透明に  7月20日投開票の参議院議員選挙は、大手メディ…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る