4月相場入りだが、決算発表接近で出来高の少ない閑散相場か、量的緩和あれば急伸も=犬丸正寛の相場展望

犬丸正寛

 足元の相場は動きに元気がない。日経平均でみれば2月12日の1万4952円(終値)から3月14日の1万7233円までほぼ1カ月で約2280円上昇、率では約15.2%上昇とここまでは元気がよかった。しかし、3月14日以降は1万7000円を挟んだモミ合いで推移、2月ボトムからの上昇に比べると元気がないことは確かだ。それに、出来高(東証1部)についても2月ボトムからの上昇過程では30億株前後だったが、足元では20億株前後に落ちている。株価だけでなく出来高でも元気はないといる。

 元気のないことは、ひとことで言うなら2月ボトムから短期間に急速に上昇したことに対する警戒感ということだろう。とくに、大手商社が大幅な利益下方修正を行うなど企業々績の先行きに対する不安がある。4月になれば3月期決算の発表が始まるため内容を見極める姿勢が強まり、結果、模様ながめの元気のない相場になっている。

 来週は4月相場入りだが、4月になっても基調的には今の状態と大きくは変わらないように思われる。相場にインパクトとなる材料があるとすれば、日銀の追加量的金融緩和だろう。仮に実現すれば、今の相場が、「閑散に売りなし」の状況だから好感することになるだろう。量的緩和は、来春の消費税10%とも絡んでくるので、消費税見送りなら量的緩和も実現はないだろう。

 結局は、今後の相場は日本の景気と企業業績の見通し次第ということになりそうだ。1~3月のGDPは恐らく連続のマイナスだろう、企業業績も17年3月期は芳しくない見通しだ。量的緩和がなければ、日経平均の上値は大きくは期待できないだろう。17年3月期の見通しのよい銘柄を中心とした個別買い相場のように思われる。

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