【編集長の視点】アカツキは連日のストップ高で最高値、IPO後のセカンダリーで独自ビジネスモデル・成長可能性を再評価

編集長の視点

 アカツキ<3932>(東マ)は、寄り付きの買い気配から502円高の3350円まで買い進まれ、前日に続いてストップ高して4日続伸、連日の上場来高値更新となっている。同社株は、今年3月17日に公開価格1930円で新規株式公開(IPO)され、初値は、公開価格を下回る1775円で初値をつけ、上場来安値1506円まで売られたが、その後のセカンダリーでは、同社の独自ビジネスモデルによる成長可能性を評価してストップ高を交えて最高値追いとなっている。前日30日大引け後に持分法適用会社のクリームフィールド(東京都渋谷区)を連結子会社化し、ソーシャルゲームの開発力を強化すると発表したことも、追撃材料視されている。

■4つの強みを発揮して国内外でゲームタイトルが相次いでヒット

 同社は、スマートフォン向けのソーシャルゲームを開発し運営しているが、2010年の設立以来、4つの強みを発揮して設立初年度から黒字を計上し、業績は高成長を続けている。4つの強みは、市場ニーズを捉えてタイムリーにゲームをリリースする世界観や高い企画力に加え、高開発力を背景にした開発スピードの速さ、複数タイトルを重層化するポートフォリオを形成する長期運営力、国内の成功ノウハウを台湾子会社をベースに海外30カ国以上に水平展開する海外での高いオペレーション力である。

 この4つの強みを象徴しているのが、バンダイナムコエンターテインメントと共同開発した「ドラゴンボールZ ドッカンバトル」である。同タイトルは、国内で売り上げランキングで1位となり、海外市場にも英語版、フランス語版、繁体時版でも配信しヒットしており、国内外累計のダウンロード数は、3000万件を超えている。このほか自社開発のオリジナルタイトル「シンデレライレブン」は、スポーツジャンルのランキングで6位、「サウンドメモリーズ」は売り上げランキングで10位とヒットし、上位3タイトルの売り上げで全売り上げの88.9%を稼ぎ出している。

 このため業績も増収増益率を拡大、今3月期業績は、売り上げ55億7900万円(前期比28.4%増)、営業利益19億3500万円(同3.35倍)、経常利益16億2800万円(同2.74倍)、純利益8億6100万円(同2.33倍)と予想されている。前日発表のクリームフィールドの連結子会社化では、高いデザイン力やプロデュース力を保有するゲーム開発会社である同子会社と連携、一体化してゲーム開発を強化、効率化することで来期以降の業績期待も高めている。

■公開価格割れの最安値から2.2倍と大化けしなお上値挑戦に拍車

 株価は、IPO時の資金吸収額が73億円超とやや規模が大きく、3月中旬以降のIPOラッシュも重なったことで公開価格1930円を下回る1775円で初値をつけ、上場来安値1506円まで売られたが、同安値からきょう31日を含めた2日連続のストップ高を交え最高値3350円まで2.21倍の大化けとIPO株の投資鉄則の「小さく産んで大きく育てる」を体現する株価展開を続けている。直近IPO株買いで一段の上値挑戦に拍車を掛けよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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