【忠田公夫の経済&マーケット展望】NYダウ1万8150ドル突破有無が米国景気占うポイント

忠田公夫の経済&マーケット展望

 米国の4月雇用統計では、雇用者数が前月比16万人の増加と、好調の目安とされる20万人を3か月振りに下回った。なかでも、これまで大幅な雇用の増加を続けてきた小売業が3000人の減少に転じた点は気にかかる。また、今年1~3月期の国内総生産(速報値)が前期比年率でわずか0.5%の伸びにとどまった状況を加味すると、足もとで米国の景気はやや踊り場に差し掛かりつつあるのかもしれない。

 「株価は景気の先行指標」とされるが、NYダウは今回の反騰で4月20日、終値ベースで1万8096ドルまで戻した。だが、テクニカル上の重要な節目1万8150ドルを終値でブレイクしていない。この点については、昨年9月7日付けの当欄を参照されたい。

 「NYダウは7月16日に終値で1万8120ドルまで反発したものの、これが戻り高値となった」旨、記述しているが、現時点では、依然としてこの重要ポイントを突破できていない点に注意しておきたい。

 つまり、NYダウが終値で1万8150ドルを明確にブレイクできれば、それは米国景気が踊り場を脱却し、米国がリードする形で世界景気も好転に向かう一つのシグナルと捉えられよう。

 しかし、このレベルを突破するのに手間取ることになれば、米国景気は当面、踊り場に入り、株価も一定のレンジ内での推移というケースも想定しておく必要があろう。

 後者の場合、FRBは利上げを先送りすると見られ、為替市場ではドルが軟調に推移する可能性が強まろう。わが国の経済や株価にとっては円高への対応が求められ、必然的に日銀の舵取りに焦点が当たることになろう。

 逆に、前者の場合、FRBは遠からず追加利上げに踏み切ると見られ、ドルの反発とともに、円安・日本株高につながる公算が大きいだろう。

 今月の伊勢志摩サミットや7月の参院選など注目イベントが数多くあるが、やはり米国株と米国景気の動向が、為替市場をはじめマーケットの方向性を決定づける重要なファクターとしてマークしていきたい。(アナリスト)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■東京・愛知・兵庫で屋外広告も掲出、号外や無料バッティング企画も実施  Major League …
  2. ■新生児対象の臨床試験で抗炎症作用と菌叢改善を実証  森永乳業<2264>(東証プライム)は7月2…
  3. ■「日本栄養・食糧学会大会」で研究成果発表、科学的根拠を提示  味の素<2802>(東証プライム)…
2025年9月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ピックアップ記事

  1. ■東証市場、主力株急落と中小型株逆行高で投資戦略二極化  証市場は9月19日に主力株の急落と中小型…
  2. どう見るこの相場
    ■プライム市場の需給悪化を警戒し、個人投資家は新興市場へ資金を逃避  「桐一葉 落ちて天下の秋を知…
  3. ■01銘柄:往年の主力株が再評価、低PER・PBRで買い候補に  今週の当コラムでは、買い遅れカバ…
  4. ■日米同時最高値への買い遅れは「TOPIXコア30」と「01銘柄」の出遅れ株でカバー  日米同時最…
  5. ■東京株、NYダウ反落と首相辞任で先行き不透明  東京株式市場は米国雇用統計の弱含みでNYダウが反…
  6. ■株式分割銘柄:62社に拡大、投資単位引き下げで流動性向上  選り取り見取りで目移りがしそうだ。今…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る