【アナリスト水田雅展の銘柄診断】パシフィックネットは第2四半期累計の業績発表で急落したが、目先的な売り一巡後は通期増額の可能性を評価して出直り

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 中古パソコン・モバイル機器などのリユース事業を展開するパシフィックネット<3021>(東マ)は1月14日、今期(15年5月期)第2四半期累計(6月~11月)の業績を発表し、株価は急反落した。第2四半期累計は増収増益だったが、通期見通しの据え置きが嫌気されたようだ。ただし業績面での不安は小さいだけに下値は限定的だろう。3%台の配当利回りも支援材料であり、目先的な売り一巡後は今期業績見通し増額の可能性を評価して出直り展開だろう。

 パソコン、タブレット端末、スマートフォンなど中古情報機器の引取回収・販売事業を主力として、レンタル事業も展開している。13年10月に旗艦店としてオープンした「PC-NETアキバ本店」など全国主要都市に9店舗を展開し、主要仕入先のリース・レンタル会社や一般企業からの引取回収を強化するとともに、生産性向上や業務プロセス効率化などで収益力を高めている。

 ISO27001(ISMS)およびプライバシーマークに準拠した情報漏洩防止のためのセキュリティ体制に強みを持ち、企業や官公庁のセキュリティ意識やコンプライアンス意識の向上に伴って中古情報機器の入荷台数が大幅に増加している。データ消去サービスなども奏功して顧客カバー率が一段と広がり、大手金融機関からの中古情報機器引取回収もスタートした。

 新サービスとして14年8月、レカム<3323>およびリステック(東京都中央区)との3社協業で、中小企業向けサーバー機器レンタルサービスを開始し、法人向け格安スマートフォンのサービスも開始した。

 14年10月には企業・官公庁・自治体での使用済みIT機器の回収からデータ消去までの一連の作業を大幅に効率化する日本初のWebサービス「P-Bridge」の無償提供を開始した。IT資産管理ソフト大手エムオーテックス社とデータ連携し、当社の引取回収サービスの提供価値を高める。中期的にはソリューション・プラットフォームと位置付けて、リサーチ結果の提供やユーザー間の情報交換など、さまざまなサービスを新たに投入する方針だ。

 また14年11月には、Windowsクラスルーム協議会の「Windowsクラスルーム包括プログラム」のサービスメニューとして「教育機関のお客様向けECOサービス」を展開すると発表した。教育現場におけるICT機器導入時・処分時のコスト削減サービスや、ICT機器処分時の情報漏洩などセキュリティリスクを軽減するサービスを教育機関向けに提供する。

 1月14日発表の今期(15年5月期)第2四半期累計(6月~11月)の連結業績(12月11日に増額修正)は、売上高が前年同期比23.1%増の22億36百万円、営業利益が同19.7%増の1億51百万円、経常利益が同16.9%増の1億61百万円、純利益が同29.1%増の1億05百万円だった。

 米マイクロソフトのOS「ウインドウズXP」サポート終了に伴う入れ替え需要一巡や、消費増税の反動といったマイナス影響が想定よりも限定的だった一方で、中古スマートフォンや中古タブレット端末といった中古モバイル機器の引取回収・販売が大幅に増加した。

 通期の連結業績見通しについては前回予想(7月15日公表)を据え置いて売上高が前期比4.8%増の42億53百万円、営業利益が同5.4%増の3億円、経常利益が同1.2%増の3億11百万円、純利益が同6.3%減の1億71百万円、配当予想が前期と同額の年間16円(期末一括)としている。

 通期見通しに対する第2四半期累計の進捗率は売上高が52.6%、営業利益が50.3%、経常利益が51.8%、純利益が61.4%と概ね順調な水準である。通期見通しについては、市場動向や戦略投資などの状況を踏まえて精査中として前回予想を据え置いたが、顧客対応強化の効果で中古情報機器の引取回収・販売が順調に増加し、保守・サポートなど付帯サービス関連も拡大している。生産性向上や業務プロセス効率化も寄与して通期見通しに増額の可能性があるだろう。

 株価の動きを見ると、12月中旬の直近安値496円から切り返しの展開となり、1月7日に585円まで上伸する場面があった。その後も概ね500円台半ばで推移していたが、1月14日の第2四半期累計業績発表後に急反落して503円まで調整した。通期業績見通しの据え置きが嫌気されて目先的な売りが膨らんだようだ。

 1月14日の終値508円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS33円23銭で算出)は15~16倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間16円で算出)は3.1%近辺、実績PBR(前期実績の連結BPS352円83銭で算出)は1.4倍近辺である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線が戻りを押さえる形だが、一方では500円近辺が下値支持線の形だ。1月14日は目先的な売りで急落したが、業績面での不安は小さいだけに下値は限定的だろう。3%台の配当利回りも支援材料であり、目先的な売り一巡後は今期業績見通し増額の可能性を評価して出直り展開だろう。

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