【アナリスト水田雅展の銘柄診断】トシン・グループは下値切り上げて調整一巡感、自己株式取得や低PBRも支援材料に14年8月高値目指す

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 電設資材商社のトシン・グループ<2761>(JQS)の株価は、14年8月高値3145円から水準を切り下げて調整局面だったが、12月の直近安値2741円から下値を切り上げて調整一巡感を強めている。自己株式取得や0.8倍台の低PBRも支援材料として14年8月高値を目指す展開だろう。

 首都圏を中心として、電設資材や住宅設備機器などの卸売事業を展開する持株会社である。小口多数販売や、他社にはない専門部署による得意先営業活動支援サービスなどを特徴としている。取扱商品や営業拠点網の拡充などで事業基盤強化を推進しており、14年4月に伊勢崎営業所、14年8月に太田足利営業所を開設した。

 12月26日に発表した今期(15年5月20日期)第2四半期累計(14年5月21日~11月20日)の連結業績は、売上高が前年同期比2.1%減の225億43百万円、営業利益が同18.7%減の10億81百万円、経常利益が同12.3%減の15億49百万円、そして純利益が同12.7%減の9億18百万円だった。

 14年4月の消費増税に伴う新築住宅着工戸数の低迷、夏場の天候不順によるエアコン商戦の不発などで減収となり、新本社ビルへの移転に伴う賃借料の増加や減価償却費の増加などが影響して減益だった。

 通期の連結業績見通しは前回予想(7月4日公表)を据え置いて売上高が前期比1.1%増の470億円、営業利益が同0.7%増の26億90百万円、経常利益が同1.2%増の35億90百万円、純利益が同1.1%増の21億円、配当予想が前期と同額の年間52円(第2四半期末26円、期末26円)としている。

 通期見通しに対する第2四半期累計の進捗率は売上高が48.0%、営業利益が40.2%、経常利益が43.1%、純利益が43.7%だが、建設関連で下期の構成比が高い収益構造を考慮すれば概ね順調な水準だろう。通期ベースでは営業拠点網の拡充、新規得意先の開拓、小口多数販売の強化、得意先営業活動支援サービスの体制・機能強化など、グループ総合力を活かした付加価値サービス拡充の効果が期待される。

 なお8月11日に発表した自己株式取得(取得株式総数の上限60万株、取得価額総額の上限18億円、取得期間14年8月18日~15年7月31日)については、1月9日に自己株式立会外買付取引(ToSTNeT-3)によって2600株を1株当たり2858円で取得し、1月9日時点での累計取得株式総数3万8200株、取得価額総額1億957万8100円となった。

 株価の動きを見ると、14年8月の高値3145円から水準を切り下げて調整局面だったが、12月の直近安値2741円から下値を切り上げて調整一巡感を強めている。

 1月14日の終値2868円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS233円61銭で算出)は12~13倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間52円で算出)は1.8%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS3496円88銭で算出)は0.8倍近辺である。

 週足チャートで見ると、26週移動平均線がサポートラインとなって下値を切り上げ、13週移動平均線突破の動きを強めている。強基調に回帰する形であり、自己株式取得や0.8倍台の低PBRも支援材料として14年8月高値3145円を目指す展開だろう。

>>トシン・グループのMedia-IR企業情報

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