【編集長の視点】アトラエは2Q好決算を見直して直近IPO株買いが再燃し急反発

 アトラエ<6194>(東マ)は、380円高の8630円と急反発して始まっている。同社株は、今年6月15日に新規株式公開(IPO)されたばかりで、24日に英国の「EU(欧州連合)離脱ショック」による世界同時株安に巻き込まれて上場来安値7380円へ急落したが、全般相場の落ち着きとともに、同社の今9月期第2四半期(2Q)業績の好決算、9月通期業績の大幅増益を見直し下げ過ぎとして直近IPO株買いが再燃、上場来安値からの底上げを加速させている。同社の展開している成功報酬型求人サイト「Green」が、ビッグデータ解析と人工知能(AI)を駆使してHR(企業の人的資源)領域に変革を起こしていることも、成長可能性の再認識につながっている。

■2Q利益は6カ月実績で前期年間利益を超え9月通期利益は前期比3倍超増予想

 同社の2Q累計業績は、売り上げ5億7100万円、営業利益1億5100万円、経常利益1億4800万円、純利益9900万円で着地した。四半期決算が初作成となるため前年同期比較はないが、売り上げは、前2015年9月期年間売り上げの68%を超え、営業利益は年間利益を5700万円、経常利益は同5400万円、純利益は同3500万円それぞれオーバーした。このため9月通期業績も大幅続伸し、売り上げ12億6600万円(前期比51.2%増)、営業利益3億4100万円(同3.62倍)、経常利益3億2200万円(同3.43倍)、純利益2億1600万円(同3.36倍)と予想している。

 「Green」は、従来の広告型求人メディアの多数の営業人員を抱える労働集約型の求人サイトと異なり、ビッグデータを活用して求職者と求人企業の採用プロセスのあらゆるデータを保有し、蓄積されたデータによって求職者に最適化された求人情報を、求人企業には最適化された求職者情報を提供するレコメンドシステムを実現、書類通過率が業界平均を大きく上回る高いマッチング精度を示している。採用実績企業の約90%がIT・Web業界で占められ今年3月末現在で4000社を超えており、同業界の転職求人倍率が高水準で推移していることも要因となっている。

 また新規事業として、175万人のソーシャルデータを保有する「TalentBase」による転職潜在層へのダイレクトリクルーティングや、ビジネスパーソン同士の採用、転職、情報交換・収集などを結び付ける完全審査制AIスマートフォンアプリ「yenta」などを展開していることも、同社の成長可能性を高めている。

■最高値から最安値への調整幅の3分の1戻し目前までリバウンドしまず初値奪回へ

 株価は、公開価格5400円でIPOされ1万2720円で初値をつけ上場来高値1万4500円まで買い進まれる高人気となったが、英国の「EU(欧州連合)離脱ショック」による大暴落の波及でストップ安して上場来安値7380円へ突っ込んだ。同安値からは、切り返しも急で前日29日取引時間中に9380円高値をつけ最高値から最安値への調整幅の3分の1戻し水準までリバウンドした。直近IPO人気を再燃させ半値戻しの1万円台回復、初値奪回と一段のリカバリーを加速させよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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