【編集長の視点】ツバキ・ナカシマは続落も初決算発表に期待を高め最安値を前に下値抵抗力を発揮

編集長の視点

 ツバキ・ナカシマ<6464>(東1)は、21円安の1483円と前日9日の変わらずを含めて4営業日続落して始まっている。きょう10日に日経平均株価が、海外株安や円高の進行が響き小反発して始まったあと、143円安と下ぶれフシ目の1万6000円台を割ってスタートしたことから、同社株にも売り買いが交錯している。ただ同社は目下、昨年12月16日の東証第1部への新規株式公開(IPO)以来の初決算となる前2015年12月期業績を集計中で、今年2月15日に発表予定にあり、業績期待を高め前日取引時間中につけた上場来安値1453円を前に公開価格1550円を下回る株価は下げ過ぎとして下値抵抗力を発揮している。国内大手証券が、同社株を新規に最高位格付けでレーティングし目標株価を高く設定したことなども、決算発表を前に見直されている。

■新素材セラミック球の好展開や世界的な自動車増産が業績を牽引

 目下集計中の同社の前2015年12月期業績は、IPO時に売り上げ390億円(前期比8.2%増)、営業利益70億円(同34.1%増)、純利益46億円(同19.7%増)と予想され、純利益は過去最高を更新し、配当も33円が予想されていた。同社は、2007年1月にMEBO(経営陣・従業員による株式公開買い付け)によりいったん上場廃止した。以来、海外生産拠点を新設・増強するなどグローバル製造ネットワークを確立させ、通常の鋼球より耐久性、省エネ性の高い新素材セラミック球を製造コストを大幅に削減して開発した。こうした新技術・新製品・新市場開拓により競争力強化に取り組んでおり、ボールベアリングに使用される精密球が、世界的な自動車生産や工作機械需要の拡大の恩恵を受け、戦略製品のセラミック球が、スマートフォン向け工作機械用途に好調に推移、円安メリットもオンしたことが、好業績要因となる。

 しかもIPO時に開示した前2015年12月期第3四半期(3Q)業績は、前年同期比11.6%増収、45.1%営業増益、20.8%純益増益と大きく伸び、通期業績に対する利益進捗率は、目安の75%を上回る81%~82%に達しており、上ぶれ着地も期待されている。続く今2016年12月期業績も、続伸が有力で、国内大手証券は、連続の過去最高純利益更新と観測しており、2月15日予定の初決算発表が注目されることになる。

■PER12倍台水準から底上げし初値抜け、上場来高値奪回を目指す

 株価は、公開価格1550円に対して1620円で初値をつけ、上場来高値1804円まで買い進まれ、昨年末の配当権利落ちに年明け以降の全般相場急落の波及が重なって結局、上場来安値1453円と調整した。同安値は、前期実績推定ベースではPER12倍台と下げ過ぎとして底上げ、公開価格を窺っている。国内大手証券では、新規に投資判断を最高位の「Buy(バイ)」、目標株価を1930円でカバレッジを開始しており、一段のリバウンドが期待される。決算発表を契機に初値抜けから上場来高値奪回を目指そう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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