【編集長の視点】キャリアは続落も初決算の3Q業績発表を先取りして直近IPO株買いが再燃余地

 キャリア<6198>(東マ)は、190円安の4120円と続落して始まっている。同社株は、今年6月27日に新規株式公開(IPO)されたばかりで、明15日にはLINE<3938>(東1)の大型IPOを控え乗り換えの動きもあって東証マザーズ指数が続落してスタートしていることから、目先の利益を確定する売り物が続いている。ただ下値には、同社が8月8日にIPO後の初決算となる今9月期第3四半期(3Q)業績の発表を予定していることを先取り、今期業績の大幅増益、同社の成長可能性が再確認されるとして直近IPO株買いも交錯している。同社は、高齢化社会型人材サービス事業を展開しており、参議院選挙で大勝した安倍内閣の成長戦略「一億総活躍プラン」の追い風を受けるとして関連株買いにもつながっている。

■設立以来の高成長が続き今9月期純利益は28%増益と大幅続伸

 同社は、55歳以上の働く意欲のあるシニア層を企業に紹介・派遣するシニアワーク事業と、潜在している看護職員を活用して介護施設に紹介・派遣するシニアケア事業を主力事業としている。両事業とも日本が急速な高齢化社会を迎え、生産現場での労働人口の減少や介護施設での人手不足が深刻化する環境下、この課題に対応する人材サービスを提供している。シニアワーク事業では、55~75歳までのシニア層の未就労率が54%と高いだけに、強い就労意欲を持つシニア層向けにシニア活用コンサルタントを育成して就労機会を開拓・提供し、労働者数は、今年3月末で2万4000人を突破しており、2014年10月から開始したシニアケア事業でも、全国へ拠点展開し潜在看護職員を活用して人材提供を進めている。

 業績も、2009年4月の設立以来高成長しており、今9月期業績は、売り上げ73億9700万円(前期比27.6%増)、営業利益4億400万円(同53.6%増)、経常利益4億円(同36.5%増)、純利益2億4600万円(同28.1%増)と予想、連続して過去最高を更新する。IPO後の初決算の3Q業績で、通期予想業績に対してどの程度の進捗度を示すか注目される。

■急伸時に開けた窓埋めでスピード調整を終了し3Q業績を先取りリバウンド幅拡大

 株価は、公開価格1940円に対して3870円で初値をつけIPO2日目、3日目、4日目と連続してストップ高し上場来高値7140円まで買い進まれ、この急伸時に開けた窓をその後の2日連続のストップ安で埋め、スピード調整終了を示唆している。3Q決算発表を先取りして直近IPO株買いを膨らませてリバウンド幅を拡大しよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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