【編集長の視点】ソーシャルワイヤーは連日の最安値も初配当実施に合わせて3Q高利益進捗率業績も再評価し突っ込み買い余地

編集長の視点

 ソーシャルワイヤー<3929>(東マ)は、100円安の946円と3営業日続落して始まり、連日の上場来安値更新となっている。きょう12日に日経平均株価が、海外株安や急速な円高・ドル安、原油先物価格の続落などの影響を受けて721円安とフシ目の1万5000円台を割って続急落して始まっていることから、同社株にも売り先行となっている。ただ同社株は、今年2月3日の取引時間中に発表した初配当をキッカケに急反発した経緯などから、今年1月29日に開示した昨年12月24日の新規株式公開(IPO)以来の初決算となる今3月期第3四半期(3Q)業績の高利益進捗率を見直して安値後は下げ渋っており、直近IPO株買いが再燃する展開も想定され突っ込み買いは一考余地がありそうだ。

■中期的な還元方針を「連結配当性向30%を目標とした持続的な配当拠出」に変更

 同社は創業以来、将来の事業拡大に向け内部留保の充実を図ることを優先して配当を実施してこなかったが、IPOを契機に一定の内部留保を図りながら「連結配当性向30%を目標とした持続的な配当拠出」をすることに中期的な還元方針に変更、今3月期の期末配当を15円として初配当する。日銀が、1月29日にマイナス金利の導入を決定、大手銀行などが、相次いで定期預金の金利を引き下げていることなどから、配当実施・株主還元方針の変更への評価は高まる方向にある。

 初配当の前提となる今3月期業績は、IPO時に売り上げ19億1300万円(前期比20.7%増)、経常利益2億円(同81.2%増)、純利益1億4000万円(同2.03倍)と大幅続伸を予想された。これに対してIPO後の初決算として今年1月に発表された今期第3四半期(3Q)業績は、売り上げ14億3700万円、営業利益1億7800万円、経常利益1億6500万円、純利益1億1400万円で着地した。売り上げは、前年同期に比べて約24%増加し、営業利益は、85%増と大きく伸び、3月通期業績に対する進捗率は、売り上げが75%となったが、営業利益は86%、経常利益は83%、純利益は81%と目安の75%を大きく上回った。

 同社は、企業や官公庁・団体のプレスリリース文書をメディア向けに配信するニュースワイヤー事業と、国内、アジアでレンタルオフィスを運営するインキュベーション事業を展開しているが、ニュースワイヤー事業の3Q累計のプレス配信数は、前年同期比2.3倍の2万4200件と伸びて、売り上げが同16.9%増の7億6600万円となった。またインキュベーション事業のレンタルオフィス累積稼働席も、同じく20.3%増、売り上げが同32.7%増の6億6800万円と好調に推移したことが高進捗率業績の要因となった。今年1月20日には、レンタルオフィス「新宿AVENUE」の2回目の拡張を実施、増床した10個室が事前予約により高稼働スタートすることなどから、今3月通期業績の上ぶれ着地期待も高まる。

■PERは16倍台と下げ過ぎを示唆し初配当権利取りもオンし底上げに再発進

 株価は、公開価格1600円でIPOされ、2511円で初値をつけ上場来高値3015円まで買い進まれる高人気となったが、世界同時株安の波及で1215円安値まで調整した。同安値から新宿のレンタルオフィス増床、3Q好決算と好材料が続いて1545円の戻り高値まで底上げした。同戻り高値からは1163円安値まで再調整、期末配当増配で1449円までリバウンドしたものの、再度の世界同時株安の直撃で最安値まで突っ込んだ。PERは16倍台と相対的に割安であり、期末の初配当取りも加わり底上げに再発進しよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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