【アナリスト水田雅展の銘柄診断】三洋貿易はレンジ下限から反発の動き、15年9月期増額余地を評価して14年8月高値を目指す

銘柄分析

 ゴム・化学関連商品などの専門商社である三洋貿易<3176>(東1)の株価は、1200円~1400円近辺でボックス展開の形だが、レンジ下限から反発の動きを強めている。今期(15年9月期)業績見通しの増額余地や、2%台後半の高配当利回りを評価して、14年8月高値1579円を目指す展開だろう。

 ゴム関連商品、化学品関連商品、産業資材関連商品、科学機器関連商品、機械・資材関連商品の5分野に事業展開する専門商社である。メーカー並みの技術サポート力に加えて、財務面では実質無借金経営であることも特徴だ。海外は米国、メキシコ、タイ、中国(上海、香港)、インド、ベトナム、インドネシアに展開している。

 主力の自動車関連向けは、各種合成ゴム・添加剤、タイヤ用特殊クレー、防振ゴム・ホース原料、自動車用シート部品(レザーシート、シートヒーター、ランバーサポート、シートセンサーなど)といった高付加価値品を中心に展開している。

 飼料・エネルギー・リサイクル関連では、飼料や固定燃料などを製造するペレットミルが高シェアだ。また国内子会社のコスモス商事は、地熱・海洋資源開発関連分野で掘削用機材の輸入販売・レンタルを手掛けている。

 なお1月20日には、1月28日~30日開催(東京ビックサイト)の「ASTEC2015 第10回先端表面技術展・会議」に出展すると発表している。

 今期(15年9月期)の連結業績見通し(11月6日公表)は売上高が前期比5.8%増の620億円、営業利益が同3.8%増の33億円、経常利益が同2.4%増の36億円、純利益が同5.9%増の21億円としている。配当予想は配当性向の下限の目途を25%として、同3円増配の年間37円(第2四半期末18円、期末19円)としている。

 自動車関連の合成ゴム商材や自動車シート用部品など、主力商材が国内外で好調に推移する。新規商材の拡販、韓国向け液晶関連の回復、国内子会社の資源関連掘削機械の好調なども寄与する。セグメント別売上高の計画は、ゴム・化学品が同4.5%増の252億円、機械資材が同7.4%増の169億円、海外現地法人が同8.3%増の136億50百万円、国内子会社が同1.7%増の60億50百万円、その他が同14.5%減の2億円としている。

 利益面では、今期は新規案件の基盤固めの時期として小幅増益見通しとしている。ただし期初時点では保守的な見通しを公表する傾向が強く、円安進行や原油価格下落なども追い風となって増額余地があるだろう。

 中期成長に向けた戦略として、新規ビジネスのグリーンイノベーション領域(地熱発電・海洋資源開発・CO2地中貯留、木質バイオマス加工・ガス化熱電併給装置、太陽電池部材などの環境・資源エネルギー関連分野)の強化、ライフイノベーション領域(医薬中間体・原体、食品・バイオ関連向け各種分析機器、医療関連原材料などの生活関連分野)の強化、ASEAN地域や北中米地域などグローバル展開の強化、そしてM&A・資本提携を掲げている。

 中期目標数値として掲げていた15年9月期の売上高610億円、営業利益30億円のうち、営業利益目標は前期に達成している。今期業績見通しに増額余地があり、中期的にも収益拡大基調だろう。

 株価の動きを見ると、14年8月高値1579円から反落後は概ね1200円~1400円近辺のレンジでボックス展開の形だ。しかし14年10月の直近安値1210円を割り込む動きは見られない。下値固めは完了しているようだ。

 1月23日の終値1276円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS146円82銭で算出)は8~9倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間37円で算出)は2.9%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS1148円88銭で算出)は1.1倍近辺である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線を割り込んだが、ボックスレンジ下限の1200円台で反発の動きを強めている。今期業績見通しの増額余地や2%台後半の高配当利回りを評価して14年8月高値を目指す展開だろう。

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