【株式評論家の視点】農業総合研究所は、好業績予想で農産物の海外輸出に期待

株式評論家の視点

 農業総合研究所<3541>(東マ)は、本年6月10日に東京証券取引所マザーズに上場。主な事業は、「農家の直売所事業」で、同社及び業務委託先が運営する集荷場で登録した生産者から農産物を集荷し、原則翌日にスーパーマーケット等(以下、スーパー等)の小売店の直売所コーナーで販売し、生産者とスーパー等を直接つなぐ流通を構築している。これまで、郊外の直売所や道の駅に行かなければ購入できなかった生産者の顔が見える「安心・安全・新鮮・おいしい」農産物を、日々生活者が利用しているスーパー等で購入できる仕組みを提供している。

 前2016年8月期第3四半期においては、農家の直売所事業に注力し、積極的にスーパー等の小売店と交渉及び導入を進め、5月31日時点で644店舗(前期末比173店舗増)まで拡大。スーパー等に対しては、関東地区や関西地区の店舗でのフェアや販促支援を強化し、より多くの農産物が販売できるよう注力。また、登録生産者に対しては、相場情報やスーパー等の特売情報等を提供し、より多くの農産物を出荷できるよう注力。登録生産者が5482人(前期末比760人増)と順調に拡大している。

 前16年8月期第3四半期業績実績は、売上高が8億3100万円、営業利益が1億0400万円、経常利益が1億1300万円、純利益が7100万円に着地。前16年8月期第3四半期において四半期財務諸表を作成していないため、15年8月期第3四半期記載及び同期間と比較は行っていない。

 前16年8月期業績予想は、売上高が10億5100万円(前期比18.9%増)、営業利益が1億4900万円(同3.4倍)、経常利益が1億5500万円(同3.5倍)、純利益が1億円(同93.4%増)を見込んでいる。

 株価は、6月16日の上場日に公開価格1050円を78.1%上回る1870円で初値をつけた後、7月4日に上場来高値7460円と上昇。7月14日高値7440円と買い直された後、9月15日安値4280円と調整し、モミ合っている。この8月末に世界市場を子会社化。同社は、日本の農産物を海外へ輸出することを目的に15年9月17日に設立されていたが、これによって農業総合研究所は、海外への輸出拡大を目的としたプラットフォーム作りを推し進める。また、スーパーだけなく、ホームセンターやドラッグストアにも直売所を設置することも視野に入れており、今17年8月期業績も好調に推移すると予想されることから、10月12日に予定される8月本決算の発表に期待は持てる。ここから下押す場面は、買い妙味が膨らみそうだ。(株式評論家・信濃川)

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