【株式評論家の視点】富士山マガジンサービスは7月7日にマザーズへ上場、国内最大級の雑誌定期購読サイ運営、出版業界において異彩を放つ高成長

株式評論家の視点

富士山マガジンサービス<3138>(東マ)は2015年7月7日に東証マザーズに上場するニューフェース。出版社約1200社と直接取引をして、雑誌販売の支援を行っている。取扱い雑誌数は2015年4月末時点で紙媒体10250誌、デジタル誌2584誌に及ぶ。

出版社から取扱高に応じて「業務報酬」を受領、原則在庫を持たないマーケットプレイス型のビジネスモデルとなっている。また、企画立案から制作、販売、配送、顧客管理まで一括して行う「丸請サービス」も提供中だ。

ただ、雑誌の市場規模は縮小傾向にある。2000年に1兆5000億円近くまであったものが2014年には8500億円となった。しかし、同社の西野伸一郎社長は「逆に8500億円という巨大市場がある」と捉え、積極的に事業を展開している。

まず、西野社長が目につけたのが定期購読者だ。日本の定期購読者数は総部数の10%程度とフィンランドや米国の80%に比較すると非常に低い。「その分、日本では定期購読者比率を上げるのりしろが大きい」(西野社長)という。具体的には定期購読を申し込んだ読者に対して購入価格を50%安くし、さらに送料無料、デジタルサンプルが試し読みできるサービスを提供して、定期購読者の獲得に乗り出した。この効果は表れある雑誌は3年前2万部だった実売が現在では8万部となり、このうち定期購読部数は2万部を達成したのだ。

このため、同社の取扱高はうなぎ登りに増加。つれて業績も絶好調。2015年12月期は売上高23億9300万円(前期比23.3%増)、営業利益2億6900万円(同32.8%増)、経常利益2億7000万円(同32.6%増)、純利益1億5900万円(同26.0%増)、1株利益は102円37銭を見込んでいる。「今後、紙とデジタルの両建てで売上高を年間20%増やしていく」(西野社長)方針と西野社長の鼻息は荒い。

停滞している出版業界において、同社の活躍は目を見張るものがあり、株価の評価も高いものになりそうだ。(株式評論家・志木克己)

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