【編集長の視点】ソラストは月次介護サービス続伸をテコに2Q業績に期待を高め直近IPO株買いが再燃して急反発

 ソラスト<6197>(東1)は、33円高の1065円まで上げて急反発し、今年8月23日につけた上場来安値912円からの底上げを鮮明化している。同社株は、今年6月29日に東証第1部に再上場(IPO)され、11月10日には今3月期第2四半期(2016年4月~9月期、2Q)累計決算の発表を予定しているが、IPO後初決算となった今期第1四半期(2016年4月~6月期、1Q)の2ケタ増益業績に続いて、介護サービスの月次利用状況が続伸したことを手掛かりに2Q累計業績への期待を高め、下げ過ぎIPO株買いが再燃している。1億総活躍社会の実現などを柱とする2016年度第2次補正予算が、10月11日に成立したことも、政策関連株人気につながっている。

■1Q好決算後も7月、8月の月次介護サービスの利用状況は高水準推移

 同社のIPO後初決算となった今3月期1Q業績は、前年同期比2.9%増収、25.8%営業増益、18.4%経常増益、40.1%純益増益で着地し、IPO時に予想した今期2Q累計業績に対する利益進捗率は、50~52%と目安の50%をクリアした。同社は、1500以上の医療機関向けに医療事務関連業務や病院経営支援業務などを受託する医療関連受託業務と、219カ所の事業所と13カ所の保育所で介護・保育事業を展開しているが、医療関連受託業務のセグメント利益は、新規契約の獲得に伴う業務の立ち上げや社員給与の見直し・待遇改善費用の増加などでやや伸び悩んだが、介護・保育事業では、介護施設の利用者数の続伸や保育事業の園児数の増加、自治体からの補助金収入などが寄与して、セグメント利益が、前年同期比4.6倍と大きく伸びて好決算につながった。

 この介護事業は、その後も好調に推移し、月次の介護サービス利用状況が、訪問介護では7月が前年同月比3.8%増、8月が9.3%増、デイサービスでも同様に1.1%増、1.9%増と推移し、グループホームや有料老人ホームの入居率も、92~97%と高水準となった。このためIPO時に売り上げ323億7800万円(前年同期比3.3%増)、営業利益15億9300万円(同0.9%増)、経常利益15億900万円(同4.6%減)、純利益9億8900万円(同2.7%増)と予想された2Q累計業績への期待を高めている。つれて売り上げ663億9100万円(前期比5.3%増)、営業利益36億円(同8.7%増)、経常利益35億800万円(同6.0%増)、純利益23億1300万円(同16.0%増)と予想された今3月期通期業績への好波及も見込まれている。

■PER13倍台、配当利回り3.8%の下げ過ぎ訂正で全値戻しの最高値奪回に弾み

 株価は、再上場株のIPO株人気が限定的にとどまる投資アノマリーや同社株の資金吸収額が約150億円と大きかったことなどが響いて、初値を公開価格の1300円を下回る1222円でつけ、いったんは上場来高値1306円へ買い直されたが、全般相場の波乱とともに上場来安値912円まで調整、月次介護サービスの続伸や中間配当の配当権利取りなどで1163円の戻り高値をつけ、権利落ち後の中段固めを続けている。PERは13倍台、年間41円を予想している今期配当の配当利回りは3.85%となお下げ過ぎを示唆しており、最高値から最安値までの半値戻しをクリアしたここからは、全値戻しの最高値奪回に弾みをつけよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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