【編集長の視点】エアトリは海外旅行回復と戦略的投資で業績好調、株価上昇に弾み

■夏休み旅行需要を先取り業績上方修正を見直し三角保ち合い煮詰まる

 エアトリ<6191>(東証プライム)は、前日8日に前日比変わらずの909円で引けた。ただ取引時間中には914円と上値を伸ばす一方、為替相場が、1ドル=146円台の円安・ドル高に振れたkとから898円と売られる場面があるなど25日移動平均線を出没する三角保ち合いに煮詰まり感も強めた。小中学校の公立学校の夏休み入りとともにバカンスシーズン入りとなるが、夏休み旅行の動向見通しで海外旅行者数が2ケタ増となりコロナ禍前の9割まで回復すると予想されていることから、航空券予約サイトを運営する同社株に関連需要を先取りする買い物が交錯した。同社は、すでに今年7月1日に今2025年9月期業績の上方修正を発表しており、これを見直すとともに一段の業績押し上げ期待も高めている。

■3社目の航空会社出資など戦略的マーティング効果に出資先のIPO続出もオン

 今夏の旅行需要は、JTBの2025年5(7月15日~8月31日)旅行動向調査によれば、総旅行者数は7464万人(前年同期比0.8%増)で、このうち国内旅行者数が7270万人(同0.3%増)、海外旅行者数が244万人(同20.8%増)と国内旅行者数が圧倒的に多い。ただ海外旅行者数の伸び率は、国内旅行者数の伸び率を大きく上回り、コロナ禍前の9割まで回復すると予想されている。前日9日は、相互関税の税率引き上げで円安・ドル高に振れたが、ひところの円安・ドル高が、やや落ち着いてきたことも要因と分析されている。同社は、今年1月に新潟空港を拠点とするトキエア社(東京都港区)と資本業務提携し、航空会社へ3社目の出資をしており、航空券予約サイトのアクセス増加に弾みがつくことが見込まれる。

 一方、同社の今2026年9月期業績は、今年7月1日に上方修正され、売り上げは期初予想を据え置いたが、営業利益は20億円、経常利益は19億円、純利益は12億円それぞれ引き上げ、売り上げ280億円(前期比5.1%増)、営業利益20億円(同15.5%減)、経常利益19億円(同0.005%減)、純利益12億円(同40.3%減)と見込み、前期比減益率を縮小させるとともに、市場コンセンサスを上回った。国内旅行・海外旅行の増加に合わせた戦略的マーケティングやこれまでのM&Aの効果、さらに投資事業での今年3月21日のミーク<332A>(東証グロース)など出資先の新規株式公開(IPO)が続いたことなどが寄与している。

■年初来高値調整幅の3分の1戻しから半値戻し、全値戻し目指す

 株価は、上方修正された前期業績から一転して今期業績の減益転換を予想したことを嫌って920円安値へ調整し、その後の出資先のIPOや同業の国内旅行事業者との資本・業務提携などで年初来高値1289円まで大きく上昇した。同高値後は、今期第1四半期業績の伸び悩みに世界同時株安が重なって年初来安値753円に突っ込み、売られ過ぎ修正に今期業績の上方修正が加わって936円までリバウンド、上場来高値から同安値への調整幅の3分の1戻しを達成した。足元では、この3分の1戻し水準の25日移動平均線を出没する三角保ち合いを続け、煮詰まり感を強めてきた。バカンスシーズン入りとともに、まず三角保ち合いを上放れ半値戻しの1021円達成に再発進しよう。(情報提供:日本インタビュ新聞・インベストメントナビゲーター:株式投資情報編集長=浅妻昭治)

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