【編集長の視点】シンクロ・フードは分割落ち後高値を視野、連続2ケタ増収益業績見直しに東証1部変更の好需給期待オン

 シンクロ・フード<3963>(東1)は、前週末13日に116円高の1986円と大幅続伸して引け、取引時間中には2015円高値まで買われ、株式分割(基準日・今年3月31日、1株を3株に分割)の権利落ち後の今年7月14日につけた権利落ち後高値2133円を視野に捉えた。今年8月9日に発表した今2018年3月期第1四半期(2017年4月~6月期、1Q)業績が、2ケタの増収増益で着地し、3月通期業績予想に対して順調な利益進捗率を示したことを見直し、今年11月8日発表予定の今期第2四半期(2017年4月~9月期、2Q)累計決算への期待を高め買い増勢となった。今年9月29日に東証第1部に市場変更された好需給要因も、フォローの材料視されている。

――――「飲食店.COM」の登録ユーザー数、関連事業者数が前年同期比2ケタ増と好調――――

 同社株は、昨年9月29日に東証マザーズ市場に新規株式公開(IPO)され、この5カ月後の今年2月7日に株式分割を発表するとともに、今年9月22日に東証第1部への市場変更が承認され、IPOからちょうど1年後の今年9月29日に市場変更された。この株式分割権利落ち後には、東証第1部への市場変更の形式要件を充足させるために今年4月、9月と2度にわたって株式の立会外分売(分売価格1177円、1541円)を実施し株価は好感高しており、実際に今年9月の市場変更承認時には、材料出尽くし感もあって株価はやや下ぶれた。ただ今後、東証株価指数(TOPIX)に組み入れが始まることから、TOPIX連動型のファンドなどの買い需要が発生し、株価を押し上げる展開が想定されている。

 一方、同社の今3月期1Q業績は、前年同期比29.9%増収、27.9%営業増益、29.3%経常増益、26.7%純益増益と2ケタの伸びを示し、今3月期通期予想業績に対する利益進捗率は、29%~30%と目安の25%を上回って好調に推移した。外食産業の飲食店の店舗物件探しや求人広告などの出店・開業支援、食材仕入、厨房備品購入の店舗運営を一気通貫でサポートする情報サイト「飲食店.COM」で、積極的なインターネット広告などの認知度向上や東海エリアへのサービス展開により、今年6月末現在で登録ユーザー数が、前年同期比16.5%増の11万6000件、有料ユーザー数も、同15.2%増の3万2000件、また「飲食店.COM」に対してサービスを提供する不動産事業者や内装事業者、食材仕入事業者などの関連事業者も、同21.9%増の3552社と好調に推移したことなどが要因となった。

 今3月期通期業績は、期初予想を据え置き売り上げ12億7000万円(前期比20.8%増)、営業利益4億8300万円(同7.3%増)、経常利益4億5900万円(同8.4%増)、純利益2億8900万円(同9.3%増)と見込み連続して過去最高を更新するが、今年11月8日に予定している今期第2四半期(2017年4月~9月期)決算の発表時に1Q業績の高進捗率から業績上ぶれも期待されている。

――――TOPIX組み入れ開始の好需給期待を高めてまず分割権利落ち後高値にキャッチアップ――――

 株価は、株式分割の権利を4200円で落とし、落ち後安値1030円から株式立会外分売や今期業績の続伸予想を評価して分割落ち後高値2133円まで2.0倍化し、今期1Q業績が好調に推移したものの今期通期業績を期初予想の据え置きとしたことが響いて1510円まで再調整した。同安値から2回目の立会外分売や東証1部承認で1951円高値へ約3割高し、25日移動平均線で下値を確認して切り返し足元では2000円台にタッチしてきた。TOPIX組み入れが開始される好需給期待を高め、まず分割落ち後高値へのキャッチアップを加速させ分割権利落ち埋めを目指そう。(本紙編集長・浅妻昭治)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■ガソリン・軽油の暫定税率廃止法成立  ガソリン暫定税率廃止法は11月28日に成立し、ガソリン税2…
  2. ■うつ・統合失調症・発達障害を脳から理解する、最前線研究を平易にまとめた一冊  翔泳社は11月25…
  3. 【新築マンションの短期売買を分析】  国土交通省は11月25日、三大都市圏および地方四市の新築マン…
2025年12月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031  

ピックアップ記事

  1. ■「大きく産んで小さく育てる」IPO市場、期待裏切る後半戦  48勝2分10敗である。2025年の…
  2. ■日銀イベント通過で円高前提、紙・パ株が師走相場の主役候補  今週のコラムは、日銀の金融政策決定会…
  3. ■FOMC通過も市場は波乱、金利と為替に残る違和感  FRB(米連邦準備制度理事会)のFOMC(公…
  4. ■眠れる6900トンの金が動き出す、「都市鉱山」開発でリデュース株に追い風  今週の当コラムは、金…
  5. ■天下分け目の12月10日、FRB利下げで年末相場は天国か地獄か?  天下分け目の12月10日であ…
  6. ■AI・データセンター需要拡大に対応、測定能力は従来比最大2倍  リガク・ホールディングス<268…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る