【鈴木雅光の投信Now】アクティブ運用vsインデックス運用

日インタビュ新聞ロゴ

 アクティブ運用とインデックス用のどちらが良いのでしょうか。

 一般論としては、「長期で投資した場合、アクティブ運用の運用成績は、インデックス運用のそれに劣後する」と言われます。理由は、恐らく次の2点でしょう。

 その1。プロだからといって常に市場平均以上に値上がりする銘柄をピックアップできるわけではない。
 その2。アクティブ運用はインデックス運用に比べて運用コストが割高になる。

 インデックスを構成する銘柄に均等投資をすれば、運用成績は対象インデックスに連動するわけですが、アクティブ運用は、インデックスを上回るリターンの実現を目指すため、組入銘柄を選別したり、各銘柄の組入比率に差を付けたりします。

 したがって、リターンの面でアクティブ運用がインデックス運用を上回るためには、運用担当者に市場平均を上回る株価の成長が期待できる企業を選ぶ眼があるかどうかが問われてきます。

 で、結論から言えば、インデックス運用を上回るリターンが期待できるアクティブ運用は存在するものの、全体から見ると、その数は非常に限られます。以下、「投資信託事情」のデータをもとに計算したものです。

 8月末時点で、日経225平均株価への連動を目指すインデックスファンドの過去10年間のリターンを見ると、大体12.3~20.6%。東証株価指数(TOPIX)への連動を目指すインデックスファンドで、大体▲10.0~▲5.4%です。

 過去10年間のアクティブファンドで、良い成績を収めたものを列挙すると、次のようになります。

 「中小型割安成長株ファンド」(SBIアセットマネジメント)・・・・141.1%
 「ザ・ジャパン」(JPモルガンアセットマネジメント)・・・・115.3%
 「E-フロンティア・オープン」(JPモルガンアセットマネジメント)・・・・83.9%
 「日本小型株ファンド」(大和住銀投信投資顧問)・・・・83.4%
 「新興成長株オープン」(みずほ投信投資顧問)・・・・72.9%

 上記がベスト5になります。ちなみに純資産総額が30億円未満のファンドは外してあります。

 この他にも、19本弱のアクティブファンドが、日経225平均株価連動型のインデックスファンドの運用成績を上回っていますが、全体の本数が149本なので、インデックスファンドの運用成績を上回るアクティブファンドは、ごく一部であることが分かります。

 したがって、アクティブファンドの運用成績は、長期的に見て決してインデックスファンドに劣後するわけではありませんが、インデックスファンドを超えるリターンを実現しているアクティブファンドは、極めて限られたものであるということを、理解しておく必要があるのです。

(証券会社、公社債新聞社、金融データシステム勤務を経て2004年にJOYntを設立、代表取締役に就任、著書多数)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■東京・愛知・兵庫で屋外広告も掲出、号外や無料バッティング企画も実施  Major League …
  2. ■新生児対象の臨床試験で抗炎症作用と菌叢改善を実証  森永乳業<2264>(東証プライム)は7月2…
  3. ■「日本栄養・食糧学会大会」で研究成果発表、科学的根拠を提示  味の素<2802>(東証プライム)…
2025年9月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ピックアップ記事

  1. ■東証市場、主力株急落と中小型株逆行高で投資戦略二極化  証市場は9月19日に主力株の急落と中小型…
  2. どう見るこの相場
    ■プライム市場の需給悪化を警戒し、個人投資家は新興市場へ資金を逃避  「桐一葉 落ちて天下の秋を知…
  3. ■01銘柄:往年の主力株が再評価、低PER・PBRで買い候補に  今週の当コラムでは、買い遅れカバ…
  4. ■日米同時最高値への買い遅れは「TOPIXコア30」と「01銘柄」の出遅れ株でカバー  日米同時最…
  5. ■東京株、NYダウ反落と首相辞任で先行き不透明  東京株式市場は米国雇用統計の弱含みでNYダウが反…
  6. ■株式分割銘柄:62社に拡大、投資単位引き下げで流動性向上  選り取り見取りで目移りがしそうだ。今…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る