【編集長の視点】エイトレッドは上場来安値から続急伸、3Q決算発表を先取り成長可能性を見直し直近IPO株買いが増勢

 エイトレッド<3969>(東マ)は、前日23日に290円高の3830円と続急伸して引け、今年1月20日につけた上場来安値3310円からの底上げを鮮明化した。同社株は、昨年12月22日に新規株式公開(IPO)されたばかりで、今年1月26日にIPO後の初決算となる今3月期4~12月期(第3四半期、3Q)業績の発表を予定しているが、稟議書などの煩雑な社内文書を管理するシステムのワークフロー製品「X-point(エクスポイント)」の業界シェアがトップに位置する成長可能性を見直し直近IPO株買いが増勢となった。「トランプ・リスク」の再燃で全般相場が調整色を強めるなか、内需株人気を高め、株式需給的にも大株主2社の保有比率が高く同社の浮動株比率が低い好需給にあることも、値動きの軽さを示唆すると意識されている。

■「X-point」の導入企業は1800社を超え業界シェアも19%超

 「X-point」は、「書類の電子化」、「ペーパーレス化」、「ワンクリックで決済」、「いつでも取り出せる書類」などを実現し、新しい仕事のスタイルを提供して業務を効率化、2011年10月にはこれをクラウド型で提供する「X-point Cloud」を立ち上げた。導入企業は、ユーザー数が10名程度のスモールビジネスから1000名以上の大手企業まで1800社を超え、2015年度のワークフロー市場では、出荷金額ベースでシェアが19.6%とトップとなった。とくに100名未満の小規模企業向けでは70.9%の高シェアに達した。しかも、この販売パートナーは、SCSK<9719>(東1)など東証1部上場会社30社近くに及び、固定費が軽減され30%を超す高い売上高経常利益率を実現する要因となっている。中期的にもワークフローの未導入企業が44万社超に及ぶなど低位にとどまっているだけに、今後も高い成長可能性が期待されている。

 業績も好調に推移し、今3月期業績は、売り上げ9億5000万円(前期比12.4%増)、営業利益3億900万円(同13.7%増)、経常利益3億円(同10.3%増)、純利益1億9500万円(同11.5%増)と見込み、配当も28.47円を予定している。1月26日の3Q決算発表で、3月通期業績対比でどのような進捗率を示すか注目を集めている。

■大株主2社の保有比率が高い株式好需給もフォローして最高値奪回に弾み

 株価は、公開価格1800円に対して4210円で初値をつけ即ストップ高し、上場来高値5390円まで買い進まれる高人気となり、3820円安値まで調整し、大納会にかけては円高再進行による全般相場の下ぶれのなか逆に4285円の戻り高値をつけた。年明け後は、「トランプ・リスク」の再燃で上場来安値3310円へ突っ込む再調整となったが、年末相場と同様に内需株人気を高めて底上げに転じ、上値トライの動きを強めてきた。親会社のソフトクリエイトホールディング<3371>(東1)とSCSKの2社は、IPO時に各20万株の保有株売出しを実施したが、なお大株主として株式を保有し浮動株比率が低位にとどまる好需給を示唆しており、値動きを活発化させ最高値奪回に弾みをつけよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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