【編集長の視点】スペースバリューHDは小幅続落も3Q減益業績を織り込み下げ過ぎ訂正買いが交錯

スペースバリューホールディングス<1448>(東1)は、前日4日に2円安の461円と小幅続落して引けた。日経平均株価が、17円高と小反発して引けたが、日中値幅が383円となお不安定に乱高下したことから、同社株もリスク回避の売り物に押された。ただ前場には470円まで買われ場面があり、大引け値も、前々日2日につけた直近安値445円を前に下げ渋っており、今年2月14日に開示した2ケタ減益で着地した今2020年3月期第3四半期(2019年4月~12月期、3Q)業績を織り込み済みとして売られ過ぎ訂正買いが交錯した。バリュー的にもPERが7倍台、PBRが0.6倍、配当利回りが5.42%と割り負け、テクニカル的にも25日移動平均線から13%超もマイナスかい離しており、買い手掛かり材料となっている。

■工場・倉庫のシステム建築が堅調で耐震工事向けの仮設校舎も増加し売り上げ続伸

 同社の今期3Q業績は、売り上げ592億7300万円(前年同期比6.9%増)、営業利益12億5100万円(同38.5%減)、経常利益14億4300万円(同27.1%減)、純利益4億2100万円(同62.5%減)と増減マチマチで着地した。売り上げは、システム建築事業の販売事業で工場、倉庫の建築が堅調に推移し、レンタル事業では学校施設の耐震化による仮設校舎や事務所などが増加、立体駐車場事業でもビジネスホテルや商業施設向けの建築が増加したことなどから続伸したが、利益については、販売管理費に前期に発生した不適切会計の再発防止策を遂行する費用を計上したことなどで減益となった。

 今3月期通期業績は、昨年6月に初開示した予想を変更せず売り上げ860億円(前期比0.4%増)、営業利益31億円(同27.7%減)、経常利益33億円(同24.4%減)、純利益21億円(同8.04倍)とやはり増減マチマチを見込んでいる。このうち純利益のV字回復は、前期計上の特別調査費3億2400万円や開発事業資産の減損損失29億6800万円などが一巡することが要因となる。配当は、期末一括で年間25円(前期実績26円)を予定している。

■トリプル底から高配当利回りの権利取りで低PER・PBR修正に再発進

 株価は、2018年10月につけた上場来高値1217円から不適切会計問題や業績の下方修正が続いて2019年3月に476円まで売られ、下げ過ぎとして692円へリバウンド、昨年8月には世界同時株安に巻き込まれて上場来安値432円に再調整し、今期第2四半期業績の上ぶれ着地で603円高値まで持ち直したが、今期3Qの減益業績や新型肺炎の感染拡大による世界同時株安も重なって445円まで再々調整、トリプルボトムを形成した。PERは7倍台、PBRは0.6倍、配当利回りは5.42%、さらに25日線から13%超の下方かい離と売られ過ぎであり、期末配当の権利取りも再燃し年初高値の603円抜けから昨年1月高値984円を目指そう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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