【編集長の視点】ブラザーは3月業績再上方修正・最高純益更新も市場予想にやや未達で急反落

編集長の視点

ブラザー工業<6448>(東1)は、147円安の1902円と3日ぶりに急反落して始まっている。前日4日大引け後に今3月期第3四半期(3Q)決算の開示に合わせて、3月通期業績の2回目の上方修正を発表、純利益が、さらに過去最高を伸ばしたが、市場コンセンサスにやや未達となったことが響いて目先の利益を確定する売り物が先行している。同社と同様に前日大引け後に今3月期業績の再上方修正を発表したトヨタ自動車<7203>(東1)が、やはり反落してスタートしたことや、為替相場が、ギリシャ懸念の再燃で対ユーロで1ユーロ=133円台と円高が進んでいることも追い討ち材料となっている。

■円安・ドル高寄与に加えて産業機器なども続伸

同社の3月期業績は、第1四半期(1Q)決算発表時の昨年8月に第2四半期(2Q)累計業績を上方修正し、2Q累計決算発表時の昨年11月に3月通期業績を上方修正したが、その11月の通期上方修正値をさらに上方修正した。売り上げを100億円、営業利益を20億円、経常利益、純利益をそれぞれ25億円引き上げたもので、純利益は、535億円(前期比2.78倍)と2007年3月期の過去最高(288億7400万円)を大きく更新するが、市場コンセンサスに約2億円届かない。為替換算レートを対ユーロでは昨年11月想定の1ユーロ=138.64円を139.35円、対ドルでは同1ドル=104.54円から109.48円とそれぞれ円安方向で見直し、産業機器の3Q売り上げが、IT関連顧客や自動車関連顧客向けに前年同期比2.0倍、営業利益が同3.8倍と伸び、3月通期でも同じく2.0倍、2.9倍と見込んでいることが要因となっている。

■PERは9倍台、25日線から8%強の下方かい離と売られ過ぎを示唆

株価は、昨年8月の今期2Q累計業績の上方修正で300円高して2100円台に乗せ、同11月の3月通期上方修正では、昨年来高値2331円まで200円高し、昨年10月安値1669円から4割高した。このところこの上昇幅の半値押し水準の2000円台下位固めを続けてきたが、きょう5日は同もみ合いを下放れ3分の2押し水準の1889円目前と売られている。PERは9倍台、25日移動平均線からは8%強の下方かい離と売られ過ぎを示唆しており、目先売り一巡後の下値買い再燃も想定される。(本紙編集長・浅妻昭治)

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