【編集長の視点】ヤマシンフィルタは株式立会外分売実施で反落も下値には割安修正買いが続く

編集長の視点

ヤマシンフィルタ<6240>(東2)は、25円安の1104円と4営業日ぶりに反落して始まっている。前日1日大引け後に今年5月25日に開示していた同社株式の立会外分売をきょう2日に分売価格1107円で実施すると発表、分売価格に下寄せするダメ押しとなっている。ただ、下値には今3月期純利益の連続最高更新や実質連続増配を見直し割安修正買いが根強く続いており、今年3月18日につけた株式分割の権利落ち後高値1148円抜けから一段の上値挑戦も期待されている。

■燃料用フィルタなどに新規採用が続きアフタマーケット対策も重点実施

立会外分売は、同社株式の分布状況の改善と流動性の向上を目的に、分売株式数を30万株としているもので、分売価格は前日1日終値に対して1.9%ディスカウントして決定された。株価は、分売発表とともに1000円台下位を探ったが、すでにこの下ぶれ幅をリカバリーして株式分割権利落ち後高値にまで肉薄しており、分売終了とともに悪材料出尽くしとなる展開も想定される。

一方、同社の今3月期業績は、売り上げ113億5300万円(前期比6.1%増)、営業利益8億3500万円(同3.9%減)、経常利益8億2300万円(同0.9%減)、純利益5億4000万円(同25.6%増)と増減マチマチの予想となっているが、純利益は、前期に続く過去最高更新となる。同社は、建設機械向けのフィルタで世界トップのシェアを保有しており、売り上げは、建設機械の新車需要が、北米、欧州の先進国で堅調に伸び、中国など新興国で減少するなど伸び悩む事業環境下、主要得意先から新規採用が見込まれる燃料用フィルタやエンジン用フィルタの拡販を進めるほか、既稼働建機向けのフィルタ製品の交換需要を的確に掴むアフターマーケット対策も重点的に実施し増収とする。営業利益は、有用な人材確保のための人件費、採用コストの増加などで小幅減益転換するが、純利益は、前期に特別損失として計上した品質保証対応損失が一巡して連続の2ケタ増益となり過去最高を更新する。

配当は、昨年10月の新規株式公開(IPO)時に予想した前期配当56円を株式分割(1対3)の権利落ち後に19円(前々期実績40円)として実質大幅増配としたが、今期も20円を予定、連続増配をする。

■分割落ち後安値から1株純資産水準までリバウンドしPERは12倍台と割安

株価は、昨年10月に公開価格2800円でIPOされ、初値を3350円でつけストップ高を交えて上場来高値4200円まで買い進まれ、品質保証対応損失発生による前期業績の下方修正で2770円と突っ込んだが、3月19日を基準日とする株式分割を歓迎して3540円まで持ち直し、3475円で分割権利を落とした。権利落ち後は、落ち後高値1148円から同安値968円まで下ぶれたが、今期純利益の連続最高更新・連続増配で1株純利益1021円水準までリバウンドし、立会外分売発表でも同水準を維持した。PERは、なお12倍台と割り負けており、前日ザラ場にあと1円と迫っていた分割権利落ち後高値抜けから上値チャレンジに弾みをつけよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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