【編集長の視点】FFRIは反落も3Q決算発表を前に相次ぐ新製品を見直し業績期待が根強い

編集長の視点

FFRI<3692>(東マ)は、265円安の4805円と急反落して始まっている。前日9日に約12%高と急上昇した反動で目先の利益を確定する売り物が先行している。ただ同社は、2月12日に今3月期第3四半期(3Q)決算の発表を予定しており、これに先立って昨年11月、今年1月と相次いで発表した新製品を見直して業績期待が根強く下値に続いており、寄り付きの安値からは4995円まで切り返すなど下げ幅を縮めている。今年年初以来、同社株の上値抑制要因となっていた信用取引規制が、2月4日に解除されたこともフォローの材料視されている。

■最先端実績の法人向けの対策ソフトを個人向けにチューニングして発売

同社は、コンピューターがウイルスに感染して重要情報が流出したりデータが破壊されることを防ぐサイバーセキュリティ対策製品を開発・販売しており、とくに同社製品は、従来型のセキュリティ対策では守り切れなかった特定の組織・団体に対して個別に作成される悪意のあるマルウエアに対して高実績を誇り、マルウエアの構造や振る舞いを検知する独自のヒューリスティック検知技術によって防御機能を発揮する。このため政府にサイバー攻撃の防御を義務付けるサイバーセキュリティ基本法が成立した昨年11月や、ソニー<6758>(東1)の映画制作子会社が、北朝鮮からと思われる相手からのサイバー攻撃を受けて映画公開の中止に追い込まれた昨年12月には、同社の高技術・高実績が大きく見直された。

こうしたなかで昨年12月1日から発売したのが、Andoroid向けセキュリティ診断アプリ「FFRI安心アプリチェッカー」であり、ティーガイア<3738>(東1)と販売提携し、今年1月に発表した個人向けセキュリティーソフト「FFRIプロアクティブセキュリティ」を今年4月から発売する。「FFRIプロアクティブセキュリティ」は、最先端実績を誇る法人向けの「FFRyarai
(ヤライ)」を個人向けにチューニングしたもので、サイバー攻撃が、国・企業レベルから個人レベルへ、さらに標的がパソコン、サーバーなどから個人のタブレット端末まで広がっていることに対応する。

同社の今3月期業績は、昨年9月の新規株式公開(IPO)時に売り上げ8億6300万円(同12.1%増)、経常利益1億9200万円(前期比30.8%増)、純利益1億1900万円(同3.2%増)と予想されている。サイバーセキュリティ基本法の成立、政府のサイバーセキュリティ戦略本部の新設、さらに新製品の発売などでこのIPO時予想がどうなるか、3Q決算が注目されることになる。さらにその先の来2016年3月期業績の動向にも関心が高まっているが、これも続伸観測が相次いでいる。

■分割権利落ち後も2.3倍化、信用規制解除で持ち前の急騰習性を発揮

株価は、公開価格1450円でIPOされ4010円で初値をつけ、その後は連続ストップ高で急伸、昨年12月5日を基準日とする株式分割(1対4)を発表する追撃材料を歓迎して上場来高値1万7440円まで買い進まれた。1万5370円で分割権利を落としたあとは、分割落ち後安値3015円からソニー子会社のサーバー攻撃への関連人気で同高値6990円まで2.3倍化、増担保規制などの信用取引規制で急伸幅の3分の2押し水準まで調整した。この信用規制は前週央に解除されており、業績期待と新製品効果で持ち前の急騰習性の再発揮も想定され、一段の戻りにトライしよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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