【編集長の視点】新日鐵住金は経常利益上方修正見直しを原油価格底上げが支援し7連騰

編集長の視点

新日鐵住金<5401>(東1)は、4円高の299.8円と反発して始まっている。同社株は、今年1月29日に今3月期第3四半期(3Q)決算の開示に合わせて、3月通期経常利益を上方修正し、純利益を下方修正する業績修正を発表、株価は、273.5円まで下ぶれたが、経常利益の上方修正を見直して割安修正買いが再燃している。為替相場が、ギリシャの債務問題を巡ってEU(欧州連合)との交渉に一定の進展があったとして1ドル=120円台、1ユール=135円台まで円安となっていることもフォローしており、純利益の下方修正要因の一つとなった原油先物(WTI)価格も、直近の1バーレル=43ドル台の直近安値から底離れしていることも意識されている。

■各セグメントの収益改善が進み円安・原料価格効果も上乗せ

同社の今3月期業績は、売り上げを昨年10月の予想値を据え置き5兆6500億円(前期比2.4%増)とするとともに、経常利益を100億円引き上げ4100億円(同13.5%増)とし、一方、純利益を同700億円引き下げ1800億円(同25.8%減)とする増減マチマチの業績修正をした。経常利益は、欧州景気が弱含み、中国などの新興国の成長ペースが鈍化するなか、米国景気が改善を示し、製鐵、エンジニアリング、化学などの各セグメントで収益改善を進め、想定為替レートを10月予想時の1ドル=105円から108円(前期実績100円)と円安方向で見直し、原料価格効果も上乗せとなって上方修正につながった。

一方、純利益は、WTI価格が、約5年3カ月の安値まで落ち込んだこともあって、ブラジルのシームレス鋼管製造の持分法適用会社バロレック社の稼働率が低水準で推移していることから、関係会社事業損失686億円を計上して下方修正した。ただ未定としていた期末配当は、年間配当性向を20%程度とする利益配分の基本方針に基づき3円として実施、年間配当は5円(前期実績5円)とする。

■半値押し水準からPER14倍台、PBR1倍ソコソコの割安修正に再発進

株価は、昨年10月に発表した今期第2四半期業績が昨年7月予想を上ぶれ増益転換して着地したことを手掛かりに昨年来安値243.3円から323円の戻り高値まで3割高し、今年1月の増減マチマチの業績修正で半値押し水準まで下ぶれた。WTI価格の先行きの動向はまだ予断を許さないものの、円安進行による業績再上ぶれも想定されるところであり、PER14倍台、PBR1倍ソコソコの割安修正で戻り高値抜けから昨年1月高値353円を目指して再発進しよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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