【編集長の視点】ラクト・ジャパンは配当権利落ち後安値水準から反発、今期業績への期待を高めて割安修正

編集長の視点

 ラクト・ジャパン<3139>(東2)は、2円高の1503円と変わらずを含めて5営業日ぶりに反発して始まり、今年12月4日につけた配当権利落ち後安値1484円に並ぶ安値水準から底上げをしている。

 同社が目下集計中の前2015年11月期業績は、海外要因が響いて減益となったと推定されるが、続く今2016年11月期業績は、この要因一巡から増益転換、純利益が過去最高更新と観測されていることも手掛かりに下げ過ぎ訂正買いが増勢となっている。大筋合意した環太平洋経済連携協定(TPP)による同社主力商品の輸入コスト低減なども、支援材料視されている。

■今2016年11月期純利益は米国要因が通常化し3期ぶり過去最高更新の観測も

 同社の前11月期業績は、今年8月28日の新規株式公開(IPO)時に売り上げ932億5700万円(前期比3.4%増)、経常利益11億7400万円(同28.9%減)、純利益6億8200万円(同30.9%減)と伸び悩みが予想されていた。乳原料・チーズ事業は、国内乳原料の供給不足を輸入で賄うため輸入乳原料に対する需要が高まり順調に推移したが、食肉加工品事業で、主力取扱品目の米国産豚肉の販売価格が、豚流行性下痢により品薄化し、米国西海岸の港湾労働争議の影響も重なって上昇し伸び悩んだことなどが要因となったもようだ。

 これに対して今2016年11月期業績は、食肉加工事業の米国要因が一巡して通常化し、シンガポール子会社で手掛けているチーズ生産が、東南アジア諸国や中国へ輸出するアジア事業向けにフル操業となっていることもオンして増収増益転換する見込みである。TPP発効による米国産豚肉の関税引き下げ・撤廃なども仕入価格低減としてプラス影響する。東洋経済会社四季報最新号では、純利益は10億5000万円(前期実績推定比15%増)と2013年11月期の過去最高(10億700万円)を更新すると観測されている。配当は、連続して年間30円の高配当を継続する。

■前期実績推定ベースでもPERは9倍台、最高値奪回に再チャレンジ

 株価は、公開価格1400円でIPOされ、公開価格と同値の1400円で初値をつけ上場来安値1235円まで下ぶれたが、PER7倍台の公開価格割れは下げ過ぎとして上場来高値1713円まで底上げした。最高値後は、この底上げ幅の半値押し水準で公開価格を再度、確認する動きを続け、期末配当権利取りで1597円の戻り高値をつけ、配当権利を落とした。PERは、前期実績推定ベースでもなお9倍台と割安であり、TPPメリット関連株思惑も強まる方向にあることも加わり、最高値奪回に再チャレンジしよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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