【アナリスト水田雅展の銘柄分析】トシン・グループは調整一巡感、自己株式取得や低PBRも支援材料に切り返し

銘柄分析

電設資材商社のトシン・グループ<2761>(JQS)の株価は、やや水準を切り下げて調整局面だったが、12月以降は2800円~2900円近辺で推移して調整一巡感を強めている。自己株式取得や0.8倍近辺の低PBRも支援材料として切り返しの展開だろう。

首都圏を中心として、電設資材や住宅設備機器などの卸売事業を展開する持株会社である。小口多数販売や、他社にはない専門部署による得意先営業活動支援サービスなどを特徴としている。取扱商品や営業拠点網の拡充などで事業基盤強化を推進しており、14年4月に伊勢崎営業所、14年8月に太田足利営業所を開設した。

今期(15年5月20日期)の連結業績見通しは前回予想(7月4日公表)を据え置いて売上高が前期比1.1%増の470億円、営業利益が同0.7%増の26億90百万円、経常利益が同1.2%増の35億90百万円、純利益が同1.1%増の21億円、配当予想が前期と同額の年間52円(第2四半期末26円、期末26円)としている。

第2四半期累計(14年5月21日~11月20日)は前年同期比2.1%減収、同18.7%営業減益、同12.3%経常減益、同12.7%最終減益で、通期見通しに対する進捗率は売上高が48.0%、営業利益が40.2%、経常利益が43.1%、純利益が43.7%だが、建設関連で下期の構成比が高い収益構造を考慮すれば概ね順調な水準だろう。

14年4月の消費増税に伴う新築住宅着工戸数の低迷、夏場の天候不順によるエアコン商戦の不発、新本社ビルへの移転に伴う賃借料の増加や減価償却費の増加などがマイナス要因だが、営業拠点網の拡充、新規得意先の開拓、小口多数販売の強化、得意先営業活動支援サービスの体制・機能強化など、グループ総合力を活かした付加価値サービス拡充の効果が期待される。

なお8月11日に発表した自己株式取得(取得株式総数の上限60万株、取得価額総額の上限18億円、取得期間14年8月18日~15年7月31日)については、1月30日に自己株式立会外買付取引(ToSTNeT-3)によって1万4300株を1株当たり2793円で取得し、1月31日時点での累計取得株式総数は5万2500株、取得価額総額は1億4951万8000円となった。

株価の動きを見ると、14年8月高値3145円からやや水準を切り下げて調整局面だったが、12月以降は概ね2800円~2900円近辺で推移して調整一巡感を強めている。

2月10日の終値2850円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS233円61銭で算出)は12~13倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間52円で算出)は1.8%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS3496円88銭で算出)は0.8倍近辺である。

週足チャートで見ると、13週移動平均線が戻りを押さえる形となったが、2800円近辺で下げ渋り調整一巡感を強めている。自己株式取得や0.8倍近辺の低PBRも支援材料として切り返しの展開だろう。

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