【編集長の視点】一正蒲鉾は小幅続落も3Q高利益進捗率業績を手掛かりに通期業績の上ぶれ期待を高め下値買いが根強い

 一正蒲鉾<2904>(東1)は、前日6日に1円安の1354円と小幅続落して引けたが、取引時間中には、1365円まで買い進まれ前々日5日に顔合わせした年初来高値1359円を更新した。前日の全般市場で大引けにかけ日経平均株価が一時、200円超と下げ幅を広げたことから、年初来高値を更新した同社株にも目先の利益を確定する売り物が交錯した。ただ下値には、今年5月12日に発表した同社の今6月期第3四半期(2016年7月~2017年3月期、3Q)業績が、大幅続伸して着地して6月通期業績に対して高利益進捗率を示したことを手掛かりに、6月通期業績の上ぶれ期待を高めるディフェンシブ株買いが根強く続いた。同社の減塩商品「サラダファミリー」が、日本高血圧学会減塩委員会の「第3回JSH減塩食品アワード」の金賞を3年連続で受賞したことも、材料株人気を刺激している。

■82%増益の水産練製品・惣菜事業を中心に3Q営業利益はすでに通期予想を3億円強上回る

 同社の今6月期3Q業績は、売り上げ282億5400万円(前年同期比0.9%減)、営業利益16億900万円(同59.0%増)、経常利益17億4800万円(同92.8%増)、純利益10億8100万円(同2.84倍)と減収・大幅増益で着地し、利益は、すでに期初予想の6月通期業績を3億900万円~4億8100万円上回る高利益進捗率となった。売り上げは、昨年9月の長引いた残暑の影響で「揚物」・「竹輪」商品群が軟調に推移して伸び悩んだが、利益は、円高進行を背景に原材料やエネルギーコストが低減し、効率化・合理化のコスト削減、さらに新商品の「うなる美味しさうな次郎」、「サラダフィッシュ」の発売なども加わって大きく伸び、水産練製品・惣菜事業のセグメント利益が、11億3100万円(前年同期比82.4%増)と大幅増益となったことなどが要因となった。

 6月通期業績は、期初予想に変更はなく売り上げ365億円(前期比4.2%増)、営業利益13億円(同62.8%増)、経常利益13億円(同2.67倍)、純利益6億円(同2.40倍)と見込んでいる。ただ3Qの高利益進捗率業績から上ぶれ期待を高めており、例えば東洋経済会社四季報の最新号では、会社側予想を保守的として営業利益を14億円、経常利益を15億円、純利益を6億9000万円などと観測している。

■2Q上ぶれ業績発表時並みに上値にチャレンジし中期的には分割権利落ち埋めも有望

 株価は、好決算には敏感に反応して上値を伸ばしており、今年2月に発表した今期第2四半期(2016年7月~2017年2月期、2Q)累計業績が、期初予想を上ぶれて着地した際も年初来安値水準から1339円高値まで22%高した。今回も、3Q高利益進捗率業績を手掛かりに年初来高値更新を続けており、同高値は、2015年3月末割り当てで実施した株式分割(1株を2株に分割)の権利落ち後高値となっている。6月期期末の配当と株主優待制度の権利取りもオンして、2Q決算時並みの上値チャレンジとして1600円台乗せも計算できることになり、中期的には分割権利落ち前の2000円大台を目指す落ち埋め展開も期待できそうだ。

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